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実践女子大学、桃谷順天館との産学連携授業で学生が新商品を提案
2023/3/27
11月16日(水)、人間社会学部現代社会学科の井上綾野准教授による3年生ゼミ「演習3B」にて、化粧品メーカーの桃谷順天館との産学連携課題のプレゼンテーションが行われた。当日は、桃谷順天館のグループ会社である明色化粧品営業部マネージャーの井上昴氏が同学に来校。桃谷順天館人事部シニアマネージャーの大江崇氏ともオンラインで結び、「演習3B」の3年生と「演習4B」の4年生の混合チーム5組が明色化粧品の新商品を提案した。



課題は「業績アップにつながるような売れる新商品の提案」

今回の課題は、桃谷順天館のグループ会社である明色化粧品の新商品を提案するというもの。

「演習3B」を履修する3年生に加え、井上准教授による「演習4B」を履修する4年生も加わり、学年混合でAからEまでの5チームに分かれてこの課題に挑んだ。



チームはそれぞれ、販売チャネルや主力商品など明色化粧品から提供された情報をベースに、「クッション下地」「フェイスマスク」「アイブロウ・アイラインスタンプ」「ヘアオイル」「メイクキープミスト」とまったく異なる商品を考案。

店頭やSNSでのプロモーション施策も併せて発表した。



発表後には、井上准教授と明色化粧品の井上氏、桃谷順天館の大江氏が審査を行い、優秀な発表をした1位から3位までのチームを選出。選ばれたチームのメンバーは、井上氏より賞品(明色化粧品の製品)を授与された。



1位に輝いたのは、アイブロウ・アイラインのスタンプ、その名も「ポンdeメイク」という商品を考案したCチーム。

眉やアイラインに関するメイクに悩みを抱える20代~30代の男女をターゲットに、スタンプ方式で眉とアイラインのメイクを可能にするという斬新な商品アイデアを披露し、これが高く評価された。

実はこのCチーム、中間発表時点での評価は低かったとのこと。どんな商品なのかイメージが伝わりづらいという井上准教授からの指摘をクリアし、見事1位という結果を勝ち取った。



2位は、メイク崩れを防止する「コンパクトキープミスト」を提案したEチーム。

毛穴の悩みを抱える人が多い点に着目し、保湿ができるメイクキープミストを提案した。外出先でのメイク直しの際に使用できるコンパクトなサイズと、持ち歩きたくなるような高級感あふれるパッケージが特徴。

プロモーションにおいては、店頭施策、SNS施策に加え、プレゼント企画も準備した。



3位は、明色化粧品の主力商品の一つ、「美顔水」シリーズの拡大を狙う「美顔フェイスマスク」の商品化を考えたBチーム。

現在、拡大を続けているフェイスマスク市場に目を付け、「美顔水」のシリーズのラインナップの一つとして、ニキビケアに特化したフェイスマスクを加えてはどうかと提案した。



惜しくも3位に入らなかったチームの発表は以下の通り。

Aチーム:ベースメイクが面倒だと考えている女性が多いことから、短時間で手を汚さずベースメイクができる「クッション下地」を提案。

Dチーム:美容院代節約のためにセルフカラーをする人が増えていることから、セルフカラーをする人向けの「ダメージ軽減ヘアケアオイル」を提案。



「0を1にする」提案になっていたと企業より高評価を獲得



順位の発表を終えた井上氏からは、「僭越ながら順位を付けさせていただいたが、どのチームの提案もすばらしかった。

1位に選ばせていただいたCチームの『ポンdeメイク』の発表は、特に聞いていてワクワクした。発想が斬新で、“0を1にする”提案となっていた点が良かった。

2位の『美顔フェイスマスク』は、既存商品のラインナップの延長ということもあり、イメージしやすく企画の意図が伝わりやすかった。

3位の『コンパクトキープミスト』は、価格を安く抑えることにこだわらず、徹底的に見た目の高級感やかわいさに振り切って考えたら、さらに面白い提案になったかもしれない。

どのチームも、世の中にさまざまな商品があふれる中、自分たちの悩みを出発点にして考えてくれた点を評価したい」とコメントをいただいた。



大江氏からは

「皆さんの思いを感じつつ、納得しながら発表を聞かせていただいた。今回の提案から得たヒントをブラッシュアップしていけば、今後、さらに良いプレゼンができるようになるはず。市場の動向を見ながら興味のある分野に高くアンテナを張り、皆さんのアイデアをぜひ社会に還元してほしい」 と締めくくった。



また、今回の発表に同席していた人間社会学部現代社会学科の角本伸晃教授は、

「それぞれのチームの発表を通して、今後に応用できるさまざまなヒントを得たと思う。座学では得られないPBLならではの学びを自分のものにして、今後も柔軟な発想を育てていってほしい。これからは、斬新な考えや取り組みが評価される時代。大学では優等生になろうとせず、ぜひぶっ飛んだ挑戦を!」と学生にエールを送った。



なお、今回学生が提案した商品は、明色化粧品で実際に製品化される可能性があるとのこと。学生たちの夢が詰まった製品が、店頭に並ぶ日も近いかもしれない。



優秀賞を受賞された学生の皆さまへのインタビュー

●今回の提案のポイント(着眼点)についてお聞かせください。

私たちの身近な悩みから発想を得たことが1番のポイントです。

普段メイクをするときに感じていることを言語化していき、「こういうものがあったらいいのにな」という夢を膨らませて今回の提案に辿り着きました。



●提案をまとめる上で、最も大事にしたものは何かお聞かせください。

メンバー1人1人が内容を理解できているか確認しながら進めることを最も大事にしていました。

0から1をつくるにあたり、それぞれの想像するものが大きく異なっていたので、同じイメージができているかを確認しながら話し合いを進めていきました。



●プレゼン資料にまとめるにあたって、こだわったことがあればお聞かせください。

私たちの提案は、商品デザインのイメージが伝わりにくいことが難点であったため、聞き手のイメージを膨らませる資料を作る点にこだわりました。具体的には、類似商品やパッケージデザインのイメージ写真を載せたり、商品デザインを実際に絵で描き、さらに文章で詳細を補足したりすることで、聞き手に商品のイメージが伝わりやすい資料作りを心掛けました。



●今回の提案全般で苦労したことやその克服方法についてお聞かせください。

アイラインのスタンプをどのように実現させるかという点に苦労しました。中間発表では、スタンプで細いアイラインを引くのは難しいというご指摘をいただきました。そこで、インターネットから情報を集め、ヘアピンや糸ようじでアイラインを引くというアイディアを参考に、商品デザインを考え直したことで、実現可能なアイラインスタンプを提案しました。



●実際に化粧品メーカーさまの課題解決に携わってみてどのようなことを感じたか、自分たちの提案がリアルに採用される可能性についてどう感じたかお聞かせください。

課題解決に携わってみて、自分たちのアイディアを伝えることの難しさを実感しました。実際に存在しない商品をどのようにしたらわかりやすくなるのか、本当に可能なのかなど試行錯誤をして、資料に反映させました。

自分たちの提案がリアルに採用される可能性については、純粋に嬉しいです。準備段階では、うまく伝わるかなど不安が多くありました。

実際に発表を終え、疑問点をご質問をいただけたため、私たちが求める化粧品について深掘りしてくださりました。

そしてありがたいことに最優秀賞をいただき、自信になりました。



●今回の授業でどのような学びが得られたか教えてください。また、得た学びを今後どのように活かしていきたいかお聞かせください。

今回の授業で、どんな発想をしても良いということを学びました。

「突飛なことを言えるのは学生のうち」ということを角本先生からおっしゃっていただき、そのことを大切にしようと感じました。

また発表を終え、大江様に「この案を誰かに話したか」と聞かれ、自分たちの案をクラスのみんなや先生以外に発表したことがなかったので、誰かに聞いてもらい、意見をもらう大切さを学びました。

これらの学びから今の私たちにしかできない考え方や周りに頼ることなど実践していこうと思いました。



井上綾野准教授のコメント

「マーケティングを学ぶ場合、「机上の空論」では意味がありません。どのように商品が生み出され、販売されているのか、マーケティングのプロセスを企業から直接教えていただけるPBLには、座学では得られない学びがあると考えています。



今回は、今年の夏のオープンキャンパスで高校生向けに実施したPBLにご協力いただいたご縁で、桃谷順天館のグループ会社である明色化粧品とのコラボレーションが実現しました。通常、PBLではプロモーション関連の課題に取り組むことが多い中、今回はマーケティングにおいて非常に重要なプロセスの一つである「商品開発」が課題。商品開発担当者とPBLで組ませていただける機会は少なく、しかも、学生の提案した商品が実際に製品化される可能性もあることから、大変貴重なチャレンジとなりました。



対象が「化粧品」ということで、技術的な限界や薬機法のような規制を踏まえながら商品を考案するのは、学生にとって簡単なことではなかったと思います。それでも、5チームそれぞれがまったく異なる商品を考えてくれました。また、SNSでのプロモーション施策についても、全チームがそれぞれ異なるインフルエンサーを起用したインフルエンサーマーケティングを提案してくれました。より購入確度が高いユーザーにリーチするには、どのインフルエンサーが適しているのか、商品の特性に合わせて判断できるとは、さすがZ世代です。



実は、今回1位を獲得したのは、中間発表時点で提案内容の完成度が最も低かったチームです。当初は、どういう商品なのか分かりづらく、データによる説得力も弱かったため、その点を指摘しました。すると彼女たちは、きちんとデザインイメージをブラッシュアップさせ、アイブロウやアイラインのメイクに関してどのような悩みを抱えている人が多いのか、市場の声を拾って提案の根拠として資料に加えてきました。その点が、高評価につながったのだと思います。企業側からは、既存の商品の拡張という枠を超えた、斬新な商品の提案ができていた点も高く評価されました。



なお、今回のPBLには、あえて「演習3B」の3年生と「演習4B」の4年生の混合チームで取り組んでもらいました。3年生はより提案経験豊富な4年生の姿に刺激を受け、4年生は後輩を指導することでリーダーシップを学び……と、双方にメリットがあったようです。普段交わらない他学年との交流により良い意味での化学反応が起き、学生のモチベーションアップにもつながったと考えています。



本学では、社会学や行動経済学、統計学など、さまざまな学問分野のアプローチによるPBLを数多く実施しています。学生でありながら自分たちの提案が形になるプロセスを体験できるPBLは、大変貴重な学びの場です。また、そのような体験の積み重ねは、アウトプット力を磨くことにもつながります。まずは、それぞれの学問分野の理論をきちんと学び、その知識をPBLで生かす――。PBLの実践で得た知見は、今後の就職活動でも強力な武器になるはずです。



今後も引き続き、マーケティングだけでなく、地域連携や啓発広告のPBLにも取り組んでいきます。より多くの学生が参加し、偏差値では測れないスキルを積極的に身につけていってくれたらと願っています。」



■詳細リンク先(https://socialcooperation.jissen.ac.jp/topics/4293/)
実践女子大学(私立大学/東京)
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