大正から昭和にかけて活躍した斎藤佳三という図案家を研究しています。斎藤はファッションやインテリア、グラフィックさらには楽曲制作まで多岐に渡る分野で創作活動を行いました。当時の日本は、日本と西洋の生活様式が混在する二重生活であった時代。斎藤は西洋文化を取り入れながらも、日本の生活に合致するデザインを考案し、作品を通して日本らしさを追求しました。また、現在のデザイン・ディレクションとも考えられるような先駆的な手法を創作活動に取り入れました。デザインは生活や社会と不可分ですが、斎藤のデザインの思想も時代変遷の中で変化をしています。日本にデザインが萌芽しようとしていた時代、斎藤をはじめ当時の図案家たちがデザインを通して社会に対峙しようとしていた姿勢は、現在の私たちにさまざまな気づきを与えてくれます。
「時間が空けば、頭に浮かんだものを落書きしながら、制作物のアイデアなどを練っています」
西先生の授業では、頭の中にあるイメージをどのように実際の形にするかというプロセスを重視。手を動かす作業だけでなく、先生との対話を通じてデザインの手法や考え方を学びます。2027年4月開設予定のライフビジネス専攻(構想中)では、企画や制作だけでなく、ビジネスや社会への実装を想定し実践的に学びます。ゼミや授業では、廃材を使ったラグなどの織物制作や展示イベントの開催など、さまざまなプロジェクトにも挑戦しています。生活や社会をより良くするデザインの楽しさを体感しながら、その実践方法を探究します。
福祉事業所が制作する織物を活用し、展示の企画や運営に取り組む
花を飾るとき、花の向きを考えたり、花瓶を選ぶことも立派なデザイン。身近な暮らしの中で、実はみなさんも自然にデザインを実践しています。デザインの考え方を学べば、生活がさらに豊かで楽しくなりますよ。
暮らしをより良くしようと工夫することが「デザイン」。実は、誰にとっても身近なものなんです!
ウィーン応用美術大学、神戸大学大学院で修士(美術・学術)を取得。制作と学術研究の両側面からデザインを研究している。斎藤佳三を中心とする近代日本のデザイン研究を行いながら展覧会を企画して自身の作品発表も行っている。
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