当院でも2年前から、心療内科の医師が中心となって緩和医療の導入が始まりました。私は、緩和医療の認定薬剤師である薬剤部長のもと、終末期の患者様の緩和医療を担当しています。週に一度、医師と看護師と私の3人で患者様の様子を診て回り、それぞれの患者様について薬の種類や投薬の方法を検討します。まだまだ新米の4年目の薬剤師ですが、この貴重な経験を生かして緩和医療の認定薬剤師の資格にも挑戦したいと思っています。人生に於いて何十年も先輩である終末期の患者様の苦痛や思いを聞くなかで、かける言葉が見つからないことも多々あります。もっと患者様に寄り添えるよう、人としても薬剤師としても成長していきたいです。
小学生の時に体調を崩して病院のお世話になり、医療従事者をめざしたい気持ちが芽生えました。医療従事者のなかで医師や受付の仕事は知っていましたが、私にとって薬剤師は、窓口の奥にいて薬を渡す時だけ顔を合わせる「謎の人」でした。気になって子どもながらにいろいろと調べて、「この仕事面白そうだな」と思うようになり、小学校の卒業文集にも「薬剤師になる」と書きました。高校生になり、通っていた学校に偶然にも、国際医療福祉大学薬学部の指定校推薦枠があることを知り、理科はあまり得意ではなかったのですが、推薦枠に入れるよう勉強を頑張りました。自宅から通えること、奨学金が充実していることも受験した大きな理由でした。
薬学部は勉強すべき内容が多く、気力と学力を保ちながら6年間通うのは大変ですが、「薬剤師になる!」という気持ちで乗り切りました。1年次は基礎科目を学ぶので座学が中心ですが、2~4年次は学内実習としてさまざまな実験をします。局所麻酔薬を作って、自分の舌に乗せてみて実際に麻痺するかを調べるような「いわゆる薬剤師」を想像する実験だけでなく、車の排気ガスに含まれる二酸化炭素を計測したり、プールの水質を調査したりなど、役所などの公共機関で薬剤師として働くことを見据えた実験もありました。実は病院や薬局以外にもキャリアの選択肢が想像以上に広いことを、薬剤師をめざす人に是非知ってもらいたいです。
国際医療福祉大学病院 薬剤部 勤務/薬学部 薬学科 卒/2017年卒/「実は、学生時代に一番頑張ったのはアルバイトで、掛け持ちしてる時期も多く大変でした。でもその経験のおかげで、目上の人とのつき合い方や患者様との会話、医師・看護師との情報共有や電話対応などに苦労しませんでした。勉強との両立は大変ですが、世の中を見てから社会に出られるのでお薦めします」と教えてくれた。大学在学中から精神科に興味があり、「まだまだ未熟なのでさまざまな経験を積んで、いつか精神科の患者様にも関われたら嬉しいです」と将来の目標を語る。趣味は旅行とゴルフで、同僚とラウンドを回ることも。