近年、力を入れている研究は「文学散歩」と「ウィキペディアタウン」です。文学には、作品を読み込むという面白さとは別に、文学的な場所を巡り歩くという面白さがあります。作品の舞台となった場所や登場する史跡などの情報を、可視化・言語化するということは、文学研究の観点からも重要なこと。またここ数年話題になっている「ウィキペディアタウン」は、図書館にある文献資料を利用して、地域の文化財や史跡などに関する情報をウィキペディアに掲載する、という取組みです。図書館は過去の資料を蓄積しながら、現代に生きる私たちが活用できるようにする施設ですが、未来のために新しい物の見方を提示する施設でもあります。地域に眠る文化や情報を可視化する・言語化するということは、文学的にも図書館的にも非常に重要なテーマといえます。
「読書」「読者」というキーワードを大切にしながら、図書館と文学に関するトピックを学ぶ「現代・図書館学ゼミ」。メディアの誕生や文学作品が世に出てくる仕組み・構造といった内容も扱い、図書館的な視点と文学的な視点の両方を学べます。また国立国会図書館や国際子ども図書館、日本近代文学館などへのゼミ旅行や、国文学科が主催する「文学散歩」のイベントなど、体感できるフィールドワークも魅力。ゼミの自己紹介では、今注目の「ビブリオバトル」も行います。図書館の面白さ、文学の面白さを楽しみながら言語化できるゼミです。
まちの中には、私たちの暮らしを考え、未来を作るための情報資源がたくさん眠っています。それらを未来へつなげていくのは、君たち学生の役目。4年間の学びの中で、情報資源を活用できる力を身に付けてください。
専門は図書館情報学で、主な研究テーマは文学館・文学散歩・ビブリオバトル・学生協働など。筑波大学大学院図書館情報メディア研究科図書館情報メディア専攻博士後期課程修了。2011年に皇學館大学文学部国文学科に助教として赴任、2015年より准教授。2015年から2021年までビブリオバトル普及委員会の二代目代表理事。現在は先進的な図書館を表彰するLibrary of the Yearの選考委員長も務める。