私は、さまざまな国際大会で選手やコーチとして上げてきた実績と経験を活かしながら、これまで柔道選手を育成するための指導研究に取り組んできました。10年前から中学校で武道とダンスが必修となり、柔道を実施する学校が7割に達しています。本学では、保健体育の中学校教諭免許状を取得できることから、多くの教師を輩出しています。そんな彼らの授業を受けた子どもたちが「柔道が楽しい」と思ってもらえるような指導をしてほしいと、その指導法を伝えています。また柔道や合気道などの礼節を重んじる武道は単なるスポーツではなく、日本に伝統的に伝わる身体文化と位置付けられています。この日本文化を後世に伝えていくことが私の使命であり、教師になった皆さんからも次世代の子どもたちにその素晴らしさを伝えて頂きたいと切に願っています。
吉鷹教授が保健体育教師を目指す方に推奨するのは、小学校・中学校、両方の教員免許の取得です。なぜなら、子どもたちの体力低下が著しくなっている近年、小学生のうちから体の機能や健康、スポーツの専門的な知識を教える力を持つ教師が求められているから。そして小学校教員は、高い指導力とノウハウを培うことができ、中学校教員になれば、その経験がない教師に比べ圧倒的な指導力の高さを発揮するとのこと。また、子どもの頃に運動好きになるか否かで人生は大きく変わるはず。そこで、運動好きの子どもを増やす指導法も伝えています。
子どものころから、また高校時代から、スポーツに勤しんできたなら、大学入学後もぜひスポーツを続けてほしいです。スポーツを続けることで、その楽しさを伝えられる良い指導者になれると思います。
柔道競技では1990年グッドウィルゲームス'90 柔道競技(シアトル)71.kg級優勝や1992年にはドイツ国際など主要国際大会で何度も優勝を果たす。1991年筑波大学大学院修士課程体育研究科修了、体育学修士。専修免許状(保健体育)取得。1995年桐蔭学園横浜大学工学部 専任講師へ。2020年スポーツ健康政策学部学部長に就任。2023年からスポーツ健康政策学部はスポーツ科学部へ名称変更。