19世紀のアメリカ文学作家ナサニエル・ホーソーンの作品を専門とし、特に身体表象に注目し、新たに作品を解釈することを目標に研究しています。ホーソーンは、作家という自分のやりたいことと、家族を養わないといけないという思いとの葛藤から、作家としての自分へ負い目を抱いていました。社会的な理想像との間で思い悩む姿は、非常に共感を抱かせます。作品中に登場する人物は、いわゆる社会からつまはじきにされるようなキャラクターが多く、ホーソーン自身の葛藤と作品内の登場人物の身体表象などに繋がりがあるのではという視点から研究を行っています。私自身、社会の規範やイデオロギーの中でギャッブを感じることが少なくありません。ホーソーンもこのようなギャップの中で生きていたことを作品の中から読み取っていきたいと考えています。
授業では、アメリカ文学の作品を扱いながら学生同士で疑問点をディスカッションし、その解消のために新しい解釈を見つけ、年度末には英文レポートを執筆します。中でも、サリンジャーの「バナナフィッシュにうってつけの日」という短編小説が人気で、精神病の主人公が最後に拳銃自殺をする不思議な展開は学生の解釈も様々。当時の社会の考え方、歴史的背景など多角的に物語を眺めるため、文学解釈は実に広い視野が求められます。独自の読み方を見出し論理的に証明する作業を通し、現代社会で生きるために必要な能力を養うことができます。
現代社会はテクストで溢れています。小説や漫画、映画、そしてSNS。色んな人・考え方があります。狭い考え方に囚われず多様な在り方を受け入れ、広い視野で見直してみると様々なことが見えてくるかもしれません!
専門:アメリカ文学
2012年佐賀県立伊万里高等学校卒業、2016年九州大学文学部人文学科卒業、2018年同大学修士課程修了、2023年同大学博士後期課程単位取得満期退学見込み。2023年4月宮城学院女子大学助教に就任。小学校高学年の頃から英語を習い、ディベート大会や英語暗唱大会、国際プログラムなどにも積極的に参加。漠然と英語を生かす仕事をめざす中で、大学でアメリカ文学の面白さに出会う。