私が研究している「機械学習」とは、膨大なデータからその特徴やルールを識別し、予測する技術のこと。画像認識・音声認識システムなどの分野で活用されています。中でも、私が取り組んでいるのは、より安全で乗り心地の良い自動運転車を実現するための研究です。人間は、目で見た情報を元に、次に起こることを予測して行動を起こします。私はこの能力を、コンピュータで再現しようと考えました。研究室では、車載カメラで撮影されたデータを使い、過去の数フレームの情報を元に未来の数フレームを予測し、画像を生成するビデオ予測などを行っています。この技術を自動運転のシステムに生かせば、どのタイミングでどれぐらいアクセルを踏むか、いつハンドルを切るのか、といった意思決定を、より正確に行うことができるようになると考えています。
「機械学習はあくまでも道具。理論を頭で考えるより、道具に慣れることが技能を習得する近道」と言う庄野先生。授業では、実際に機械学習を使いながら、それが何に役立つのか、そこにどんな課題があるのかを学びます。さらに、企業の実例などを使って、課題解決のために必要な理論を学ぶ機会も設けるということ。「人工知能や認知科学は変化が激しい分野。それゆえ、変化についていくための基礎力が重要です。学生たちには、自ら問題を設定して、必要なツールを組み合わせて解決する力を身につけてほしい」と、庄野先生は語ります。
授業では、AI人材としてのキャリアを拓くきっかけを提供できればと考えています。学生の皆さんには、技術進歩の流れについていき、時代の先端に立てるようなバイタリティを身につけてほしいと期待しています。
専門分野:知能情報学、知覚情報処理、計算論的神経科学
理化学研究所 脳科学総合研究センター研究員、客員研究員を経て、株式会社ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパンへ。リサーチャー、シニア・リサーチャーを経て、シニア・サイエンティストとして活躍。過去には早稲田大学理工学術院 創造理工学研究科の客員准教授も務める。2020年4月より追手門学院大学 心理学部に所属。