
専門は人文地理学。地域の人々の暮らしや環境を多角的にとらえ、今ある課題を見つめ直す研究に取り組んでいます。学生時代に夢中になっていたのは、太平洋戦争下で行われた「建物疎開」に関する研究です。京都の道路がなぜ突然広くなるのかという素朴な疑問から始まり、家屋の取り壊しの記録や住民の聞き取りなどを行い、地域の過去と現在をつなぐ研究を積み重ねてきました。現在は、山口県の「放置竹林」問題を解決するため、ドローンやAIを活用し、モウソウチクやマダケなど竹の種類を分類・可視化する研究を進行中。航空写真と地図を突き合わせ、実際に現地に足を運ぶなど、地理学ならではのフィールドワークを大切にしています。竹は細かく分類することで資源化が可能になります。地道な研究が、地域の未来につながるのです。

放置竹林の現地調査では、実際に山に入り竹の種類を確認します。デジタルと足で稼ぐ情報、両方が大切!
授業やゼミでは、地域が、今どんな課題を抱えているのかを考え、Project-Based Learning(PBL)の形式で調査・考察・発信。2年次の「地域学」ではフィールドワークの基本的な方法やインタビューの仕方なども丁寧に指導し、3年次からは各自の関心に沿って研究テーマを深め、4年次には卒業論文に仕上げていきます。さらに、データサイエンスについても学習します。統計学の視点でデータを客観的に扱い、GIS(地理情報システム)などの情報技術を活用して地域課題を分かりやすく可視化することで、効果的な情報発信につなげることが可能に。

学生たちとともに現地で調査。得られたデータを分析し、地域への提案につなげる
失敗は「止まること」ではなく、「次に進むための力」です。うまくいかない時には「どうやったらできるのか」を考えることで突破口が見えてきます。その先にはきっと想像以上の景色が待っていますよ!

地元・山口の研究に情熱を注ぐ藏田先生。古い地図を見ながら地理学の面白さについて熱く語ってくれました
専門分野/人文地理学
略歴/山口県出身。山口県指定無形民俗文化財「鷺の舞」を継承する家に生まれ、文化財への関心を原点に地理学の道へ。高校時代は幕末研究を志すも、京都の都市構造に惹かれ大学では建物疎開をテーマに研究し、博士号(人間・環境学)を取得。その後、山口県の環境課題に取り組む研究を開始。2023年より山口県立大学 国際文化学部に着任。デジタルとフィールドワークの両方を活かした地域研究に取り組む。
※この画面の情報は、すべて取材した時点でのものになります。



