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国立大学/沖縄

リュウキュウダイガク

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琉球大学、沖縄本島南方沖で海溝型巨大地震を引き起こす プレート間の固着域を発見
2018/8/17
【背景】
南海トラフでは巨大地震の発生が懸念されているが、その南西方の延長部にあたるのが琉球海溝だ。
この海溝も南海トラフと同じ立派なプレート境界で、この海溝を境にフィリピン海プレートが琉球列島を乗せている陸側のプレートの下に沈み込んでいる。

 

この海溝沿いでは、津波を伴ったマグニチュード(M)8クラスの巨大地震として、1771年の八重山地震や1911年の喜界島地震が知られているが、海溝型巨大地震の発生頻度は決して高いわけではなく、地震発生ポテンシャルは低いとされている。
また、科学的データの不足を理由に、政府による海溝型地震の長期評価が行われていない。

 

東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)や南海トラフの地震のような海溝型地震は、長年にわたって固着していたプレートの境目(固着域)が一気に破壊することで発生する。
このときの海底面の動きによって海水が持ち上げられ、津波が生じる。
したがって、海溝型地震の長期評価や津波の想定のためには、まずはプレート間の固着状況(どこがどれだけの強さでくっついているか)を面的に把握することが不可欠だ。

 

プレート間の固着状況は、GPSに代表される地殻変動観測によって、陸側のプレートがどれだけの大きさで陸側に押されているかを測定した結果から推定することができる。
ところが、琉球海溝沿いの陸地は海溝に平行な一列の島嶼列のみであるため、陸上での地殻変動観測をもとにプレート間の固着状況を知ることは困難だ。
さらに、琉球列島がプレート間の固着による動きとは反対の海溝側へ向かって迫り出すように動いていることも、固着状況の推定を困難にさせている。

 

【実施事項】
そこで、琉球列島よりも海溝に近い場所で地殻変動を測定するため、我々の研究チームでは、沖縄本島から約60km南方の水深2300~2900mの海域2カ所(琉球海溝からそれぞれ55kmと70kmの地点)において、約10年間にわたって海底地殻変動の調査を実施した。

 

海底地殻変動観測とは、観測船から送信した超音波の伝わる時間から海底に設置しておいた機器(海底局)の位置を繰り返し決めて、海底局の動き、すなわち地殻変動を測定する技術だ。
調査には沖縄県水産海洋技術センターの調査船「図南丸(となんまる)」、および海洋エンジニアリング(株)の海洋調査船「第三開洋丸」を使わせていただいた。

 

【成果】
約10年間にわたる調査の結果から、どちらの地点も沖縄本島に向かって動いていることが明らかになった。
動きの大きさは、海溝に近い地点では1年あたり6.3cm、もう1ヵ所では1年あたり2.1cm。
これらの動きは、陸側のプレートがフィリピン海プレートの沈み込みに引きずられて動いていることを意味しており、プレート間が固着していることの証拠を掴んだことになる。
そして、この動きと国土地理院のGPS観測網(GEONET)の観測結果を併せて分析したところ、この海域に少なくとも長さ130km×幅20~30km(最大幅60km)にわたってプレート境界が強く固着している部分(固着域)があることが分かった。この固着域は、次の地震に向かってそのエネルギー(ひずみ)を蓄えていると言える。
ただし、観測点の制約から、固着域がどこまで広がっているかは、まだ明らかになっていない。

 

最近の研究で、1791年に沖縄本島南方の沖合でM8クラスの海溝型地震が発生し、与那原に11mの津波が押し寄せたことが報告されている。
今回発見した固着域は、この津波を起こしたとされる領域と重なっており、将来的な海溝型地震と津波の発生が懸念される。

 

【意義・課題】
今回の研究成果で、沖縄本島南方沖に固着域があり、琉球海溝も海溝型地震を発生させる能力があることが分かった。
しかし、観測点の数や配置上の制約があり、その一部を発見したにすぎないかも知れない。平成 16 年に政府の地震調査研究推進本部がまとめた報告書『日向灘および南西諸島海溝周辺の地震活動の長期評価について』では、南西諸島周辺においては「将来巨大なプレート間地震が発生するとは考えにくい」と述べられている。

 

今回の研究で明らかになった最新の知見をふまえて、この考え方は早急に改める必要がある。
今後は、対象海域を琉球海溝全域に拡大して同様の調査・観測を行い、固着域の広がりやひずみの蓄積状況を明らかにすることが望まれます。その成果は、沖縄県における地震の発生予測や津波の想定に役立てられることが期待される。
 

■詳細リンク先(http://www.u-ryukyu.ac.jp/univ_info/announcement/data/press2018080101.pdf)
 
琉球大学(国立大学/沖縄)
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