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東京工業大学、指先につけるだけで非破壊検査できるデバイスを開発
2018/7/13
東京工業大学は指先につけるだけで非破壊検査できるデバイスを開発をした。
【要点】
・カーボンナノチューブ膜の物性制御によりテラヘルツ帯検出器を高性能化
・検出器は指に装着可能で、配管の亀裂検査などの非破壊検査を実現
・対象物の形状によらず、任意の場所で簡便に検査することが可能に
【概要】
東京工業大学 科学技術創成研究院の河野行雄准教授、理化学研究所の鈴木大地博士(研究当時・東工大 河野研究室所属)、産業技術総合研究所 ナノ材料研究部門の桒原有紀博士らは、カーボンナノチューブ膜を材料としたウェアラブルなテラヘルツ検査デバイスを開発した。
大規模な測定系を必要とせずに、指先につけるだけで配管の亀裂検査といった非破壊検査が可能になる。
【研究の背景と経緯】
工業用部品や医薬品などの品質を保証するため、製品への異物混入や変形・破損を検査する高機能な計測技術の開発が重要な社会的テーマになっている。
テラヘルツ帯を活用した検査技術は、製品の内部に渡る形状・材質といった情報を非破壊で測定できる強力な手段として注目を集めており、実用化に向けた研究開発が盛んになっている。
しかし、二次元平面的な構造からなる一般的なカメラを使用する場合、測定対象を全方位に渡って検査するには、カメラないしは測定対象を360度機械的に回転させる機構が必要不可欠である。
この手法は測定系の大規模・煩雑化や測定時間の増加、測定対象の制限といった課題を抱えており、生産現場におけるインライン検査やウェアラブルセンサーへの応用を困難なものとしていた。
河野准教授らは、先行研究において論及されずにいたカーボンナノチューブ膜の相対ゼーベック係数やテラヘルツ光照射に対する吸収率を最適化し、人の指にも装着できるウェアラブルな検査デバイスの開発に成功した。
【研究成果】
河野准教授らは、通常は半導体と金属が混合しているカーボンナノチューブ膜を分離し、電気二重層技術ならびにゲート電極を使用しない化学的ドーピングを用いることで、フェルミ準位を連続的に変えながら熱雑音、テラヘルツ吸収率、相対ゼーベック係数を系統的に調べることが可能となった。
これにより、カーボンナノチューブ膜のフェルミ準位の位置とテラヘルツ応答の強度が密接な関係にあることを明らかにし、フェルミ準位の位置を最適化することで、課題を同時に克服することができた。
【今後の展開】
今回の研究成果により、従来の検査技術のネックであった大規模な測定系を必要とせず、任意の場所で、あらゆる形状の測定対象を、簡便に検査することが可能となった。
これにより、工場内の入り組んだ環境での品質検査や、訪問医療などの移動先での即時検査といった従来の非破壊検査技術では難しいとされた応用の実現が期待される。
今後は検出器のさらなる多素子化、微弱信号の高感度読み出し回路や無線通信との結合などを行うことで、来たるIoT(モノのインターネット)社会に貢献するセンシングシステムを構築する。
■詳細リンク先(https://www.titech.ac.jp/news/2018/041811.html)
【要点】
・カーボンナノチューブ膜の物性制御によりテラヘルツ帯検出器を高性能化
・検出器は指に装着可能で、配管の亀裂検査などの非破壊検査を実現
・対象物の形状によらず、任意の場所で簡便に検査することが可能に
【概要】
東京工業大学 科学技術創成研究院の河野行雄准教授、理化学研究所の鈴木大地博士(研究当時・東工大 河野研究室所属)、産業技術総合研究所 ナノ材料研究部門の桒原有紀博士らは、カーボンナノチューブ膜を材料としたウェアラブルなテラヘルツ検査デバイスを開発した。
大規模な測定系を必要とせずに、指先につけるだけで配管の亀裂検査といった非破壊検査が可能になる。
【研究の背景と経緯】
工業用部品や医薬品などの品質を保証するため、製品への異物混入や変形・破損を検査する高機能な計測技術の開発が重要な社会的テーマになっている。
テラヘルツ帯を活用した検査技術は、製品の内部に渡る形状・材質といった情報を非破壊で測定できる強力な手段として注目を集めており、実用化に向けた研究開発が盛んになっている。
しかし、二次元平面的な構造からなる一般的なカメラを使用する場合、測定対象を全方位に渡って検査するには、カメラないしは測定対象を360度機械的に回転させる機構が必要不可欠である。
この手法は測定系の大規模・煩雑化や測定時間の増加、測定対象の制限といった課題を抱えており、生産現場におけるインライン検査やウェアラブルセンサーへの応用を困難なものとしていた。
河野准教授らは、先行研究において論及されずにいたカーボンナノチューブ膜の相対ゼーベック係数やテラヘルツ光照射に対する吸収率を最適化し、人の指にも装着できるウェアラブルな検査デバイスの開発に成功した。
【研究成果】
河野准教授らは、通常は半導体と金属が混合しているカーボンナノチューブ膜を分離し、電気二重層技術ならびにゲート電極を使用しない化学的ドーピングを用いることで、フェルミ準位を連続的に変えながら熱雑音、テラヘルツ吸収率、相対ゼーベック係数を系統的に調べることが可能となった。
これにより、カーボンナノチューブ膜のフェルミ準位の位置とテラヘルツ応答の強度が密接な関係にあることを明らかにし、フェルミ準位の位置を最適化することで、課題を同時に克服することができた。
【今後の展開】
今回の研究成果により、従来の検査技術のネックであった大規模な測定系を必要とせず、任意の場所で、あらゆる形状の測定対象を、簡便に検査することが可能となった。
これにより、工場内の入り組んだ環境での品質検査や、訪問医療などの移動先での即時検査といった従来の非破壊検査技術では難しいとされた応用の実現が期待される。
今後は検出器のさらなる多素子化、微弱信号の高感度読み出し回路や無線通信との結合などを行うことで、来たるIoT(モノのインターネット)社会に貢献するセンシングシステムを構築する。
■詳細リンク先(https://www.titech.ac.jp/news/2018/041811.html)