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ショコラティエの20年後、30年後はどうなる?

ショコラティエの20年後、30年後はどうなる?

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コンピューター化やAI 化とはほど遠い、職人的な要素が強いショコラティエの仕事。材料の配合や計量、温度管理はコンピューターに任せたほうが便利だとも考えられますが、ショコラティエの仕事がなぜコンピューター化やAI 化はまだまだ先であるといわれるのでしょうか。その要因をここでは考えていきます。

二つに区別される「高級チョコレート」「大量生産チョコレート」

オレンジテイストのチョコレート
オレンジテイストのチョコレート

歴史を振り返ると、これまで日本にはフランスの有名なショコラトリー(チョコレート専門店)がたくさん上陸し、銀座の一等地などに出店してきました。そうしたお店のショーケースでは、高級な仕様の箱に宝石のように輝く美しいチョコレートが並び、価格もとびきり高価でした。
同時に、高級チョコレートの先駆けとして日本で高い認知度を誇るベルギーの「ゴディバ」も、チョコレート一粒の価格が、市販の板チョコ数枚ほどの価格に匹敵します。それでもなお高い人気と支持を得ているのは「ゴディバ」が醸し出す芸術性や歴史あるブランド力にあるといってよいでしょう。
一方で、スーパーやコンビニエンスストアで商品棚に並んだ安価なお菓子やチョコレート菓子は、すでにコンピューター化された製造工程で大量生産されているので、こうした製品は今後、さらにAI化が進んでいくと考えられています。そうした意味でも、チョコレートをひとくくりにして考えるのではなく、職人の技が息づく高級チョコレート菓子と、大量生産される安価なチョコレート菓子の二つのカテゴリーの中で、今後はAI化・コンピューター化が別々に発展していくことになるでしょう。

芸術的な美しさを誇るチョコレートはAIには作れない?

10年前と比較してショコラティエという職業の認知度が高まり、 それに伴い10年前には20軒ほどしかなかったショコラトリー(チョコレート専門店)も、今日ではたくさん誕生しています。そのおかげで私たちは、個性あふれるチョコレート菓子のラインナップの中から、さまざまなフレーバー、形状、テイストを堪能できるようになっています。
そんなショコラティエですが、日本独自のチョコレート文化の発展を担うショコラティエは、職人的要素が強い仕事のため、コンピューター化やAI 化とはほど遠いところにあります。職人であるからには、チョコレート作りに欠かせない繊細な味覚や感覚が求められますし、そのほかにも、産地によるカカオの味や風味の違いを見極めるエキスパートとしての知見や、経験に裏づけされたインスピレーションが必要とされます。例えば、新作菓子の開発段階でわく「ヘーゼルにあんずを加えてみよう」「栗にフランボワーズをアレンジしてみよう」というインスピレーションやアイデアは、決してAI にマネできることではありません。
大量生産されているチョコレートと比較して、ショコラティエが作り出すチョコレート菓子が高価な理由は、古くからその希少価値を知る人に長い歴史の中で支持され、愛されてきたから。そうした時代的背景もあって、ショコラティエは長い歴史の中でステータスの高い職業に位置づけられてきました。こうした点からも、ショコラティエは今後もAIに取って代わられることのない仕事といえるでしょう。

取材協力・監修

宮原美樹※2020年8月26日更新

手作りチョコレート専門店 ショコラティエ・ミキ オーナー・シェフ・ショコラティエ。 チョコレートメーカーで開発業務に携わったあと、2006年ショコラティエ・ミキをオープン。 2008年にはフランスで開かれた「サロン・ドゥ・ショコラ」に出展。2009年 著書『CHOCOLATE BOOK』(主婦の友社)刊行。 2013年、2014年 フランスの最高峰のショコラ専門ガイドブック『LE GUIDE』に、日本を代表する10軒のショコラティエとして掲載される。

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