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ショコラティエが仕事をするときの心がけ

ショコラティエが仕事をするときの心がけ

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ショコラティエにとってチョコレート、カカオ、副素材品などの知識はもちろん、美的感覚や創造性がとても大切な素養です。さらにデリケートな食材を扱うことから、日常的に舌を守り、舌を育てていく習慣を身につけておきたいもの。ここでは、あるオーナー・ショコラティエが実践している点を紹介しながら、ショコラティエの心がまえをご紹介しましょう。

舌を守り、舌を育てていくために自分に課しているルール

宝石のように美しい高級菓子
宝石のように美しい高級菓子

自らの舌を守り、舌を育てていくために次のようなことを日常的に実践し、現在、東京で活躍しているオーナーシェフ・ショコラティエはこう言います。。
「学生の方に私と同じことをしてもらうのは難しいかもしれませんが、大量生産されたチョコレートとは一線を画す、世界に一つだけの芸術的なチョコレートを作ることがショコラティエの使命です。そのため積極的に美味しいものを食べて味覚を磨き、どんな盛りつけで供されるかを、自分の目で確認する体験を数多く積み重ねていく経験が大切です」
さらに、こうした日ごろの“食体験”によって「スイーツを食べる際に、パティシエやショコラティエがどれだけ心血を注いで作ったのか、どこにこだわったのか……などを考えながら食べる習慣をつけていく」「スイーツに限らず旬の美味しさ、地場でしか食べられない貴重なもの、世界中の食材など食の体験を若いときから積み重ね、味覚を磨いていく」といった心がまえが自然と養われていくと言います。
一期一会の“食体験”を通して、食材の美味しさ、色合い、盛りつけ、形状などさまざまな知識を蓄積していく。その積み重ねによって、芸術的なチョコレート菓子を生み出すショコラティエにとっての最大の武器である舌(味覚)を育てていく……。これが、ショコラティエにとっての大切な心がまえてもあるのです。

ショコラティエに必要な独創性、味覚、想像力

分量計測などの単純作業に日々従事する、新人ショコラティエとしての下積み経験を、成長の糧としてとらえられればよいのですが、人によっては喜びより大変さが上まわってしまう可能性もあります。
でも、ショコラティエを天職とする人が「チョコレート愛では誰にも負けない」という強い情熱や確固たる信念をもっているように、チョコレート愛が強ければ強いほど、仕事の大変さを喜びに変えてしまうエネルギーが生まれることになります。
そして何より、仕事に対する喜びやチョコレート愛を倍増させるために、週末などの時間を使ってスイーツやチョコレート菓子を味わう“食体験”を積み重ねていきましょう。
そうした体験を通して「自分らしさ」や、「○年後には自分はこうなりたい」「こんなアイデアのチョコレート菓子を作りたい」という独創的発想が生まれてきますし、「チョコレート愛では誰にも負けない」という気持ちもより強まるはず。何よりショコラティエにとっての最後の砦(とりで)である味覚も研ぎ澄まされていくことになります。
こうしたさまざまな効果を得る方法として、有名なショコラトリー(チョコレート専門店)めぐりも有効です。自らの足を使って訪れたショコラトリーの店頭に立ち、ショーケースに並んだバラエティ豊かなチョコレート菓子の中から、お気に入りの一品を選択してみましょう。自分が選んで購入した宝石のような美しい高級菓子の味は、きっと忘れられない味になるでしょうし、箱やリボンといったパッケージや、商品自体に懸けるショコラティエの情熱に想いをはせることで、ショコラティエにとって重要なインスピレーションが磨かれていくことになります。

取材協力・監修

宮原美樹※2020年8月26日更新

手作りチョコレート専門店 ショコラティエ・ミキ オーナー・シェフ・ショコラティエ。 チョコレートメーカーで開発業務に携わったあと、2006年ショコラティエ・ミキをオープン。 2008年にはフランスで開かれた「サロン・ドゥ・ショコラ」に出展。2009年 著書『CHOCOLATE BOOK』(主婦の友社)刊行。 2013年、2014年 フランスの最高峰のショコラ専門ガイドブック『LE GUIDE』に、日本を代表する10軒のショコラティエとして掲載される。

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