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ほかの医療職やリハビリテーション専門職に比べ、資格取得者がまだ多くはないため、全体的に人材は不足気味。高齢化に加え、発達障がいによる療育が必要な子どもが増えているという社会的背景もあり、言語聴覚士へのニーズは年々高くなっています。
また、国が医療保険から介護保険への円滑な移行を進めていることもあり、在宅での生活を目指す高齢者に向けたリハビリの必要性はよりいっそう重視されていくでしょう。
日本の言語聴覚士は約2万7000人
日本における言語聴覚士の国家試験合格者は、累計で約2万7000人(※1)。1997年に国家資格に制定されたばかりということもあり、有資格者総数が約7万人(※2)も存在する作業療法士に比べると、まだまだ発展途中の職種と言えます。そのため、世の中で年々伸びつつある言語聴覚士のニーズに対して数が追いついておらず、働く場所について困ることは少ないと言われています。
※1:2016年調べ。日本言語聴覚士協会ホームページより
※2:2014年調べ。日本作業療法士協会発表
退院後リハビリにおける活躍に期待
病院での治療が終了し、在宅生活に戻った患者さんを支えるためには、介護や福祉の現場への言語聴覚士の配置が必要です。しかし、言語聴覚士の多くは病院で働いているため、退院後のフォローが手薄になっていることは否めません。
医療保険から介護保険へ重点を切り替える国の計画が進んでいけば、病院ではなく、介護・福祉施設や自宅で過ごす患者さんが増えていくと予想されます。そんな患者さんをサポートするため、介護・福祉施設やデイサービス、通所リハビリテーション施設、訪問リハビリテーションでの言語聴覚士へのニーズはますます高まっていくでしょう。
高齢者ケアの重要性の高まり
高齢者人口の増加により、高齢者介護・福祉施設や在宅でのリハビリニーズは今後も増加していくと予想されています。老化による機能の衰えで引き起こされる「老人性難聴」や「摂食・嚥下障がい」は、程度の差こそあれ多くの高齢者に見られる症状ですし、記憶障がいや認知症などのコミュニケーション障がいが現れる方も増えています。言語聴覚士として幅広く活躍するためには、高齢者に対するリハビリの知識をしっかり積んでおくことが重要と言えます。
摂食・嚥下障がい」のリハビリスキルが重要に
言語聴覚士が担当するリハビリは大きく分けて2つ、「言語聴覚障がい」(会話・コミュニケーション)に対するリハビリと、「摂食・嚥下障がい」(食べ物を噛み、飲み下すこと)に対するリハビリです。
言語聴覚士のリハビリというと、「ことば」にまつわるリハビリがメインだと思われがちですが、高齢者ケアの必要性が高まる中、専門家としての「食事」のサポートは言語聴覚士が担う重要な役割となっています。「食べる=栄養の確保」は、人間が生命活動を維持するために不可欠ですし、身体を動かすリハビリを実施するには、食べることで筋力や基礎的な体力をつけることがまず何より大切なことになります。
現場によっては、日常生活全般のリハビリを行う作業療法士が「ことば」のリハビリに携わるケースも出てきているため、言語聴覚士としての存在感を発揮していくためには、「食べる」ことのプロフェッショナルとして専門性を存分に生かすことも、今後は重要になると言えそうです。
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