管理栄養士の歴史を知ろう【スタディサプリ進路】

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管理栄養士という職業がどのような変遷を経て現在に至るのか、歴史と今後の活躍の場について解説します。

「栄養の管理職」から「予防医療もできる食の専門家」へ

「栄養の管理職」から「予防医療もできる食の専門家」へ
栄養が学問として意識され始めたのは大正時代。どの食材にどんな栄養がどれくらい入っているかの情報が整備され、栄養について学ぶ学校も創設されました。1926年にその学校の卒業生たちが「栄養士」を名乗って仕事をしはじめ、1947年の新憲法（日本国憲法）の下で栄養士法が制定、公的な資格として認められます。当時は戦争によって食料が手に入らず、国民は栄養失調状態でしたが、経済的発展と栄養士たちの知見によって人々の健康は一定の水準まで向上しました。
その後、1962年の栄養士法改正により、栄養士の上位資格としてさらに複雑で困難な栄養指導業務にあたる「管理栄養士」が誕生します。食生活が豊かになると、栄養バランスの乱れなどによって成人病と呼ばれていた生活習慣病が増加。その予防には、運動に加えて食生活が大きな影響を与えることが知られはじめ、管理栄養士は生活習慣病予備群に適切な栄養指導をすることで病気を予防する役割を期待されました。管理栄養士は「予防医療もできる食事の専門家」としての立場を担うようになり、現在に至ります。

管理栄養士の活躍の場はどんどん広がっている

管理栄養士の活躍の幅は近年さらに広がりつつあります。最近注目を集めている管理栄養士の新しい働き方を5つ紹介します。

▼特定保健指導
メタボリックシンドロームのリスクが高い方に対して、生活習慣改善の方法を提案する特定保健指導が2008年からスタート。管理栄養士は、医師、保健師と並んで特定保健指導を実施。対象者から現在の生活習慣の課題をヒアリングして、いかにメタボの予防改善を実践するかを一緒に考えます。

▼食育
外食や加工食品の普及が進んだことで、料理や食材についての知識が乏しい子どもが増えており、「魚が切り身で泳いでいる」といった勘違いも生まれています。幼児や小学生が食への興味をもてるように、食事をテーマにした授業や情報提供を行うことも管理栄養士の役割です。芋ほり体験や調理実習などを企画して食の教育を行います。
また、学校における食育を推進する役割として、栄養教諭の制度が2005年に導入されました。栄養教諭とは、食に関する指導を専門に行うことができる、栄養士の資格をもつ教員です。学校では食育を担当し、児童・生徒の食への意識や関心を高めていく活動を行っています。

▼歯科衛生
近年増えてきたのが、歯科医院で食生活について指導を行う仕事です。調剤薬局では薬剤師が薬の飲み方を説明するように、歯科医院で働く管理栄養士は、患者の口腔状態を見ながら、健康な歯を保つための栄養指導や上手なおやつの食べ方、飲み込みに困難がある方への助言などを行います。医療事務と兼務しながら従事するケースもあります。

▼外食産業
レストランやコンビニ、惣菜販売などのフードビジネスはますます成長拡大が見込めるジャンル。おいしくて華やかなメニューはもちろんのこと、近年は低カロリー、高たんぱく、野菜の摂取量や品数の充実、減塩など、栄養素に配慮した商品も増えています。顧客のニーズにこたえるメニューの企画・提案も、管理栄養士の活躍が期待されます。

▼スポーツ栄養
近年、注目が高まっているのがスポーツ選手を栄養面で支える仕事です。選手のパフォーマンスが上がるように、日々のトレーニングや食生活を分析・研究して、栄養指導の提案を行います。とても人気の仕事ですが、募集人数は少なくかなりの狭き門だといえます。

管理栄養士は、多様なジャンルで伸びしろのある職業です。管理栄養士としてどんな職場でどう活躍したいか、最新の働き方にアンテナを張って考えてみましょう。