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2016年に障害者差別解消法が施行(2024年に改正)され、障がいのあるなしにかかわらず、誰もが暮らしやすい社会を作ろうという動きが広がっています。
全国的にも手話言語条例が制定され始め、言語の一つである手話を普及させ、聴覚障がい者が暮らしやすい環境を整える動きが徐々に広がっています。聴覚障がい者の社会参加の進展が広がっていくなかで、手話通訳士においては、聴覚障がい者の日常生活のコミュニケーションを支えるという役割に加え、聴覚障がいのある専門家の仕事を支える役割も出てきています。
今後は、手話通訳のエキスパートとしてより高度な知識や技術が求められる場面が増えていくと考えられます。
手話通訳士は全国で約4200人
手話通訳士の資格試験を実施している社会福祉法人聴力障害者情報文化センターの発表によると、手話通訳士の登録人数は4197人(2024年7月1日現在)です。
10名ほどしか手話通訳士がいない都道府県もあるなど、「手話通訳ができる人の数が不足している」という声が全国各地であがっています。さらに、2016年に障害者差別解消法が施行(2024年に改正)され、各自治体で手話言語条例が制定され始めるなど、聴覚障がい者が暮らしやすい社会環境を整える動きが広がっています。
手話通訳士のもつ、手話通訳における深い知識と高い技術が社会的にも一層求められるようになっていくでしょう。
テレビ電話を使った手話通訳サービスも
聴覚障がい者が遠くにいる聞こえづらさのない人と話をするとき、その相手が電話しかもっていない場合に電話リレーサービスを利用することがあります。
これは、手話通訳する人が聴覚障がい者とはテレビ電話で、聞こえづらさのない人とは電話で同時にやりとりをしながら間に入って通訳をするサービスです。そのほか、店舗などの受付や窓口、鉄道会社の案内カウンターなどにテレビ電話を設置して、聴覚障がい者が必要に応じて手話通訳者を呼び出してやりとりを行う遠隔手話通訳サービスなどが普及してきています。
このようなサービスが増えていくことは手話通訳士の活躍の場を広げることにつながるでしょう。直接対面でのサポートはもちろんのこと、遠隔でのサポートも含め、聴覚障がい者のニーズに合わせて情報提供や生活支援などを行っていく動きがとられています。
より専門的な知識をもつ、個人専任の手話通訳士も登場
手話通訳士がプロの仕事を支える役割を担うケースも出てきています。例えば、聴覚障がいのある医師や弁護士などが患者やクライアントと信頼関係を築きながら仕事をするためには、コミュニケーションの仲介を行う手話通訳士との信頼関係も重要です。
特に医療や司法などの現場では、その領域ならではの専門用語や背景を理解したうえで手話通訳をする必要があり、高いレベルのスキルが求められます。
そのため、聴覚障がいのある医師や弁護士が個人で手話通訳士を雇う事例も出てきました。今後、このようにある分野に特化した知識を併せもつ、個人専任の手話通訳士の需要も増えていく可能性があります。