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歴史のある僧侶という仕事ですが、この先、20年後、そして30年後になると、仕事内容はどのように変わっていくのでしょうか。近年注目を集めているAIの発達を見すえて、これからの僧侶の仕事がどのようになるか、また、AIと共存できるかなどについて聞きました。
偲ぶことにおいて僧侶は必要
人間は生まれて死んでいきます。これは誰にとっても同じで、亡くなることは止められないし、悲しいことです。縁のある人が集まり、その人を偲んで思い出話をして、悲しむ場が必要です。その場をつくるのが人間かロボットか、ということが問題でしょう。
例えば、職場で辛いことがあったとします。すると、AIがその人の学歴やテストの点数、病気の経歴、SNSの内容や裏アカウント情報、友人とのメール内容に、元彼の情報までを完璧に知っているとしたらどうでしょうか。AIはすべてを知っているので、きっとその人の辛さを理解しているはずです。たとえ一対一で相談を受けても、この音楽を聴けばリラックスできるとか、誰とどこで食事をすれば元気になれるなどと、提案できることでしょう。人間相談についてはAIが正解を出してくれる時代がやってくるのではないかと考えられます。
でも、最適解が答えだけではありません。意外な答えやすれ違いを出せるのが人間の可能性かもしれません。想定外の代案をどう出し、答えをどう裏切り、その人の想像から外れるか、ということはおもしろく、感情に直接触れることができます。それに対して「いいね」「すごいね」「楽しいな」と思えれば、人間同士はつながっていくのではないでしょうか。
人間、褒められるとうれしいですが、誰もが同じではなく、中には人からお説教をされたいと思っている人もいます。奇想天外な発想や、突拍子もないアイデア、「それ何?」と思わず驚いてしまうような“正解ではない”行動は人間らしさと言えるかもしれません。
つまり、AIは一つの選択肢です。カウンセラーに比べてAIはコストが安ければ相談メニューの一つにはなりますが、人は必ずしも最適解や効率だけを求めているわけではないでしょう。
人との別れにおいて、人に寄り添い一緒に偲ぶことができるのは僧侶ならでは。つまり、生きる、死ぬの感情の震えを一緒に実感するという行動は、僧侶の仕事として残るはずです。檀家のために、同じように死を恐れ、時に笑い怒る生身の人間である僧侶の役割を発揮しなければならない時代になるでしょう。
一つの選択肢ではあるが共存が前提になる
僧侶として事務作業などが軽減されるのであれば、お寺にとってAI導入は一つの選択肢と考えられます。コストの面からも検討は必要ですが、AIの発達は僧侶のためにどのような変化をもたらすのでしょうか。
例えば、AIに檀家さんの嗜好品に関しての好みを覚えさせたり、毎年のお彼岸やお盆に作業する案内状の作成や送付、会計報告の作成などの事務作業をすべて任せたりすることができれば、僧侶は違う仕事に注力できるでしょう。
もし、AIのおかげで事務作業が軽減され、僧侶が人を癒やすことができ、世の中からあらゆる困難や辛さがなくなったとしたら、僧侶は必要なくなります。それはけっして悪いことではなく、いいことです。僧侶が暇なら平和なはずですし、お釈迦さまは嘆くことなく、むしろよろこぶでしょう。病気もケガもなくなったら、お医者さんは暇になります。それをお医者さんがよろこぶのと同じです。
AIとの共存で、世の中がよくなる時代がやってくるでしょう。
取材協力先 友光 雅臣