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大学教員としてのキャリアステップはどのようなものが多いのでしょうか。教授を目指して偉くなることだけがすべてではありません。大学により報酬はもちろん、大学教員がやらなければならない仕事は異なります。自分にとってのベストなキャリアを考えるにはどうすればいいのでしょうか。
大学教員にとっての「いい職場(=いい大学)」は人それぞれ
基本的には、大学教員の多くは自分の研究と講義(教育)をどちらもやりながら、講師→准教授→教授とステップアップしていきます。大学教員といえば、教授になるためにどんどん出世することがキャリアステップとして正しいというイメージがあるかもしれません。もちろん、准教授、教授とステップアップし、最終的には大学の理事や学長などを目指す大学教員もいます。しかし、偉くなることに興味のない教員もいて、そういう教員は自分にとっての「いい大学」を目指し、いくつかの大学を渡り歩くことが多い気がします。
「いい大学」とは報酬が高額であるとか、大学のネームバリューがあるというだけではありません。その人にとっての「いい大学」は、大学教員が十人いれば十人とも異なるでしょう。例えば、研究により多くの時間を割きたいと考えている大学教員であれば、会議や入学試験対応などの業務負担が多い大学は敬遠します。ほかにも、地方の大学でのんびり研究と講義に没頭したい大学教員もいれば、東京や大阪の大学でバリバリ大学運営にも携わりたい大学教員もいます。
私が東北の大学で講義をしてみて思うのは、地方の大学生と東京の大学生では価値観や物事の捉え方が異なるということ。どちらが良い悪いではなく、同じ大学生なのに住んでいる場所が違うことによって多様性が生まれているということがすごくおもしろいのです。大学教員人生を送るなかで、規模や立地の異なる大学で経験を積むことは大切であると実感しています。このように、自分にとって「いい大学」がどのような環境であるのかをじっくりと考えておくことで、自分が願う働き方ができるのではないでしょうか。
研究に時間をかけたい大学教員は規模が小さい大学を望むことも
自分の研究に時間をかけたいと考えている大学教員の多くは、規模の小さい大学や、地方の大学で働くことを希望することが多いです。なぜなら、大きな大学であればあるほど、会議の回数が多く、会議による拘束時間が長くなってしまう傾向があるからです。会議が多いと、当然研究に割くことができる時間が減ってしまいます。大学教員も会社員と同様に「自分らしく働くことができるか」ということをとても重視しますので、裏方の仕事の多さを気にする人は多いと思います。
さらに、大学の規模が大きくなればなるほど、大学教員がかかわる業務も多くなります。大学運営全体にもかかわりたい場合は問題ありませんが、研究を最優先したい人はそういった業務の少ない大学を選ぶ傾向にあります。
トミヤマユキコ
ライター/大学講師。早稲田大学法学部、同大大学院文学研究科を経て大学講師に。少女マンガ研究を中心としたサブカルチャー関連講義を担当している。ライターとしては『小説すばる』『yomyom』『エル・グルメ』などで日本の文学・マンガ・フードカルチャーに関する連載を持つ。著書に『夫婦ってなんだ?』『40歳までにオシャレになりたい!』『大学1年生の歩き方』など。
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