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保育士は自分らしく活躍できる?

保育士は自分らしく活躍できる?

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保育所へ子どもを預ける保護者の声を巡って、男性保育士という存在や、その在り方に注目が集まっています。
保育士の歴史は戦前まで遡ることができますが、戦後しばらくまでは女性しか就くことのできない職業でした。1977年になってようやく男性も保育の現場に入ることができるようになりましたが、そこから40年近く経ってもなお、男性保育士の割合は全体の約3%(※平成22年総務省国勢調査より)とまだまだ小さいのが現実です。
なぜ、男性保育士の数は女性保育士になかなか追いつかないのか?
その背景を含め、男性保育士の現状と未来について考えてみましょう。

男性保育士 誕生までの歴史

保育士資格の前身となる保母試験が初めて実施されたのは1949年。しかし、その対象は女性に限られており、当時は男性が保母として働くことは認められていませんでした。
男性も児童の保育に従事できるようになったのは1977年以降と、資格誕生から30年ほどのブランクがあったことになります。1985年に男女雇用機会均等法が制定されると、保育所で働く男性保育者には「保父」の名称が使われるようになりましたが、資格上の正式名称は「保母」のまま。名実ともに男性保育者が女性保育者と肩を並べられるようになったのは、男女雇用機会均等法の改定で資格名が「保母」から「保育士」に改められた、1999年のことでした。


男性保育士の数と就労環境

平成22年の国勢調査の推計を見ると、保育士就業者数47万4900人のうち、男性保育士が占める割合は2.77%。「保母」の名称が使われていた1995年は0.82%、「保育士」への改名直後の2000年は1.29%だったことと比べると増加傾向にはあるものの、全体的に見るとまだまだ少ないのがわかります。
こうした状況は、「保育士になりたい」と考えている人が男性に少ないというわけではなく、外的要因が大きいと言われています。
その大きな要因として挙げられるのが、保育士という職業の専門性への理解不足、そして利用者側や雇用側の受け入れ体制の問題です。
夫婦での育児分担については、それが現代のあるべき姿として世の中の意識が変わりはじめていますが、「保育は“母性”のある女性にこそ適した仕事」という根拠のないイメージが完全に取り払われたというわけではありません。
「保育士って、子どもの世話をして遊ぶだけの仕事でしょ?」という誤解もあります。また、男性保育士の増加に保育所側の対応が追いついておらず、「男性職員用の更衣室がなく、トイレで着替えなくてはならない」といった状況も生まれているそうです。

男性保育士に期待されていること

では男性保育士は保育現場でのニーズが少ないかと言えば、けっしてそうではありません。異なる性の保育士がいることで、保育現場の多様性が促進される一面もあるでしょう。

「男性保育士に期待されていることは何だと感じていますか?」と現役の男性保育士さんに話を聞いたところ、
「運動面の指導や力仕事については、やはり期待されているなと感じます。子どもや保護者にかけっこや鉄棒の指導をしてほしいと頼られることがよくあり、それは保育士として嬉しい瞬間ですね。また、子どもが言うことを聞かない時、男性保育士が注意をすると効果がある場合があります」
との返答がありました。
とはいえ、現場の保育士さんが性別を意識することはそれほどないそうで、
「男でも女でも、保育士である以上その役割や責任に違いはありません。誰もがプロ意識をもって仕事にあたっています」
とのことでした。男女それぞれが自身の能力や長所を活かし、補い合いながら「チーム」として子どもたちを守り育てていくことこそが、保育士にとって何より重要なことなのだそうです。

千葉市の『男性保育士活躍推進プラン』

千葉市では、2017年4月に『男性保育士活躍推進プラン』がスタートしました。「男性保育士が活躍することで男性も積極的に子育てをしていく環境が醸成され、保育の質の向上や子どもの健全な成長にもつながる」との考えに基づくものです。
具体的には、「男性保育士の保育所への複数配置」「保育士の性差にとらわれない保育の実施と保護者への周知・理解促進」「男性用トイレや更衣室、休憩室を整備」「保育士をめざす男子学生への男性保育士による出張説明」などが、取り組み項目として掲げられています。
これらの取り組みが全国へ広がっていけば、男性保育士が肩身の狭い思いをすることなく自身の仕事にやりがいとプライドをもつことができるようになり、男性保育士をめざす若者も増えてくるかもしれません。男性保育士が増えれば、保育士不足による待機児童問題の解決に向けて、時代が大きく前進すると言っていいでしょう。

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