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臨床心理士になるために今から役立つ経験

臨床心理士になるために今から役立つ経験

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臨床心理士に役立つ勉強や取り組みにはどのようなものがあるでしょうか。“心の問題”を取り扱うに当たっては文系のイメージがありますが、統計を解析することがカウンセリングにつながることから、数学的な頭脳も必要とされます。学校の勉強以外でも役立つことを含めて解説します。

英語は必須。理系と文系の頭が必要

臨床心理士はアメリカやイギリスの研究者の論文を読む機会が多いため、英語の勉強をしておくことを勧めます。英語の専門用語も多く、論文を書く場合もアブストラクト(abstract)として、英語で要旨を添付する必要があります。実務を助ける手段である英語はしっかり勉強しておきましょう。
また、統計を解析することが多いので、理系に明るいと強みになります。心理学の研究には証拠、統計、実践、解析があり、カウンセリングに直接必要ない場合でもそれまでの過程に必ずかかわってきます。大学の授業でも勉強しますが、臨床心理士は理系と文系の頭が半分ずつ必要だと言えるでしょう。
ロールシャッハ・テストも元は統計を活用しています。哲学的なイメージよりも、分析や客観的に見ることが大切で、数学的な発想が求められます。数学には因数分解などのように思いつくところがありますが、同じように臨床心理士もルールがあるなかで思いつく仕事です。情報には答えは書いていないのでいろんな情報を集めて思いつくわけです。心情にのめり込むようではかたよってしまうので、客観的な視線をもつことが必要であり、数学的な発想が求められると、ある臨床心理士は考えています。
冷静な目で判断し材料を平等に見ていかないと、カウンセリングにはなりません。「かわいそう」という感情だけでは単なる人生相談になってしまいます。クライアントにのめり込むのではなく、寄り添う近さと冷静な判断をくだせるある程度の距離、その両方が必要なのです。

さまざまな経験はのちの財産になる

学校の勉強も大切ですが、それ以外のことでもさまざまなことが学べるはずです。いろいろな経験や趣味、部活動やバイトなど、何か一つでも取り組んだことは、その人の幅を広げ、のちに臨床心理士として生きていくうえでの財産になります。
 人と話すときは自分の生きざま、考えていることがにじみ出るものです。臨床心理士は人格をかけてやる仕事ですが、クライアントとの相性によって対応に差が出てはプロとは言えないでしょう。そのため、勉強だけではなく、いろんな人と付き合ったり、恋愛やけんかをしたり、悩んだり、バイトや部活動をしたり、本を読んだりする幅の広さが必要です。いろいろな分野でのさまざまな経験がその人の厚みを広げ、相手に影響を生む、すなわち、カウンセリングの治療につながっていくからです。
心理学者のロジャースは、今日カウンセリングの現場で一般的に用いられている来談者中心療法(クライエント中心療法)を創設しました。来談者中心療法は、クライアントの話をよく聞き、クライアント自身がどのように感じ、どのように生きつつあるかに真剣に取り組んでいきさえすれば、カウンセラーの賢明さや知識を振り回したり、押しつけたりしなくても、クライアント自らが気づき、成長していくことができる、という考え方にもとづいています。 ロジャースはカウンセラーに対して、クライアントの話を共感的に傾聴することをすすめています。一方で、言葉で「はい」と言葉では共感しても相手を尊重し素直に受け入れていなければ、それは相手に伝わっているとも説いています。表面だけでごまかせると思ったら、大間違いということを肝に銘じる必要があるのです。
思春期にいろいろなことを経験したほうが人の痛みや悩みがわかり、のちの財産になります。若いうちにさまざまなことを経験していきましょう。

取材協力先 松田 正子

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