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小学校教諭のキャリアパス

小学校教諭のキャリアパス

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児童が瞳を輝かせて先生の言葉に聞き入る授業には、教諭が日々取り組んでいるさまざまな“研究”や、教諭としての“貯金”が生かされています。ここでは、魅力的な国語の授業の実例を取りあげ、教諭としてキャリアアップを図るために必要なことを考えていきましょう。

担任としてのキャリアステップ

授業で教諭がどのような工夫をこらしているかも、担任のキャリアや指導力を図るバロメータになります。ここでは児童文学の名作『ごんぎつね』を題材に、ある20代の先生がおこなった授業の一部をご紹介します。
──児童文学の名作『ごんぎつね』の始まりには、こんな一文があります。
「ある秋のことでした。二、三日雨がふりつづいたその間、ごんは、外へも出られなくて穴の中にしゃがんでいました」
その一文を読み上げた先生は児童にこう質問します。「ここに〈しゃがんでいた〉と書かれているけれど、作者はどうして〈しゃがんでいた〉と表現したと思いますか?」。すると、ある児童が発言します。「なんとなく〈しゃがんでた〉んでしょ。あんまり意味ないよ」。さらに先生は質問します。「じゃあ〈しゃがむ姿勢〉のほかにどんな姿勢がありますか?」。その質問に複数の児童が手をあげて答えます。「座る!」「寝転がる!」「逆立ちする!」。
このとき教諭はあえて「〈座っていた〉〈寝転がる〉に作者がしなかったのはなぜ?」と質問せず、ほかにどんな姿勢があるかを児童に考えさせることで、頭の中にしゃがんでいるごんの姿を鮮明に描かせることで、物語の世界観に児童たちを誘導していきます。先生はさらに質問します。「じゃあ、作者はなぜ〈しゃがんでた〉にしたと思う?」。その質問に「〈寝転がって〉いると、雨がやんでもやまなくも、どっちでもいいやって感じ」とある児童が答え、別の児童は「雨がやんだら穴から出て、少しでも早く村にいきたいって思っているごんの気持ちが〈しゃがんで〉に表れていると思います」と発言。さらに別の児童が「雨がやんでほしい気持ちを強く表したいから、作者は〈しゃがんで〉にしたんだと思います」と答えます。ごんの気持ちに寄り添い始めた児童たちは、「待ちに待った雨がやんだとき、村にいったごんはどんな体験をするんだろう」と期待感に瞳を輝かせます。
もちろん、ごんがしゃがんでいた理由は作者の新美南吉さんにしかわかりません。でも、音読では理解がおよばない学びの手法によって、作品に描かれた世界観に深く入り込んだ児童たちにとって『ごんぎつね』は生涯忘れられない作品になることでしょう。こうした創意工夫の蓄積が、教諭のキャリアステップを図るうえでの重要なバロメータになります。

教諭には、“研究”成果や経験の“貯金”が大切

教諭のキャリアステップにはさまざまなスタイルがあります。児童とずっと触れ合っていたいという思いが強い教諭であれば、定年までいち教諭でいることもキャリアステップといえますし、教頭や校長といった役職に就くこともキャリアステップです。また、学校や教育のシステムを変えていきたいという夢を抱いて、教育委員会などで地域教育行政にかかわることもキャリアステップの一つです。
キャリアアップを図るうえで一つの目安になるのが、小学校教諭は5~7年目で他校に異動する点にあります。年数は県や市によって異なります。例えば、A小学校では7年以内に地域内の他校へ教諭が異動することになるため、A小学校に6年勤務する教諭はたとえ28歳の若手であっても、その小学校ではベテラン教諭に位置づけられます。
ベテラン教諭であるからには、高い授業のクオリティと教材やプリントの “研究”成果など、これまで教諭として取り組んできた経験の“貯金”が問われることになります。日頃からさまざまに“貯金=創意工夫”を蓄えておかなければなりません。このように、日々の授業の中で教諭としてどんな“貯金=創意工夫”をしてきたかが、キャリアステップを図るうえでとても重要な要素になります。

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