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航海士に役立つ学校の勉強や取り組みにはどのようなものがあるでしょうか。船の上での生活や仕事は陸上とは違い特殊な環境です。一般的な勉強で知識を身につけることは必要ですが、それ以上に求められるものがあります。それはいったいどんなものなのか、説明しましょう。
理数系の科目を勉強しておく
航海士はどちらかと言うと理数系で、業務上、計算することが多い仕事です。
例えば、1日どのぐらい走ったかという計算をしなければなりませんし、平均の速力や海水に対しての対水速力、陸地に対しての対地速力なども計算します。機械でも出ますが自分で算出できなければなりません。
前日の正午から当日の正午までどのぐらい船が走ったかという計算もあります。
さらに、荷物の上げ下ろしをするときには、船が浮いた分でどのぐらい荷物を降ろしたかを計算します。
また、船が水面に浮く深さを喫水と言いますが、喫水計算で船の重さがどのぐらい変わったかも計算します。船の前と後ろには線が引いてあり、数字が書いてあります。6まで海水があったらその下は6 m沈んでいるということなので、この船であれば2m船が沈むとどのぐらい重くなったかという計算をするわけです。
このように、航海士は計算が多い仕事なので、理数系の勉強をしておくと役立つでしょう。
何でもやらないといけないので、いろいろなことに興味をもつ
航海士として成長していくには、必ずしも勉強ができることが必要かと言うとそうではありません。もちろん、海技士として必要な知識を身につけるための勉強は大切ですが、海の上、船のなかという特殊な環境のもとで仕事をしていくため、適応力や忍耐力、判断力などが求められる職業です。
船の上ではすべて自分たちで賄っていかなければならないので、船乗りは“何でも屋”と言えるでしょう。
電話一本で救急車を呼ぶことも、修理業者を呼んだりすることもできません。そのため、緊急作業が入ったときにも、焦らず的確な行動をとる必要があります。
なかなかすぐにできることではありませんが、高校生の間にもできることとして、何事にも興味をもち、自発的にさまざまなことに取り組み、諦めずにやり遂げる姿勢が大切です。
そのような経験を積み重ねて、頭の中に引き出しを増やしていけば、たとえイレギュラーな場面に直面したときでも冷静に対応できるようになるでしょう。
天気に関して興味をもつ
船を安全に走らせるためには気象の変化を的確に捉えていく必要があります。常に自然の影響を受け続けながら航行していくので、日頃から天気予報や天気図を見る癖をつけたり、雲の種類を見分けたり、風の変化を感じたりすることに気をつけてみてはどうでしょうか。航海士となったときには、きっと役立てることができるはずです。
英語はできた方がいい
船用語は英語で決まった言葉しかないため、英語ができなくても船には乗れますが、日本の会社でも外航船での乗組員はほぼ外国人です。特に最近は日本人の乗組員が少なくなっていて、フィリピン人が増えています。外国の航路へ行く船に乗るのであれば、英語はできたほうがいいでしょう。
我妻 三耶子
東京都出身。小さい頃から海が好きで、スキューバダイビングや釣りなどをしてきた。 宇宙飛行士を一時期目指したが、宇宙を知る前に地球を知ろうと思い、地球=海という発想から、東京海洋大学へ入学。大学3年生の時、1ヶ月の船舶実習を履修し、初めて船の世界を知り、航海士を目指す。 海技教育機構(旧航海訓練所)に就職し、練習船士官として働いている。
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