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航海士の楽しいことと大変なこと

航海士の楽しいことと大変なこと

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業務上、多くの航海士が感じられる楽しいこと、大変なことにはどのようなものがあるでしょうか。船は海の上を航行するので、自然環境に左右されます。海は常に動いているだけでなく一日として同じ海はないそうです。日本だけではなく世界を舞台に活躍する、ある航海士の楽しいこと、大変なことを聞いてみましょう。

楽しいこと

1日として同じ海はなく、航海士は自然環境に左右される仕事です。とても揺れる日もあれば静かな日もあり自然に生かされていることを肌で感じることができます。毎日海を見ていても、走っている海域で海の色や空の色が違います。海が好きなので、そんな世界をずっと見ていられるのはとにかく楽しいと、ある航海士は話します。クジラやイルカなど、自然界の動物がたまに見られるのも楽しいそうです。日々の自然環境の変化を身体で身にしみて感じられるのは勉強にもなると教えてくれました。
また、航海士は日本だけではなく世界を舞台に活躍することができます。乗務員が外国人の場合もあるので世界観が広がります。乗務期間中は休みがありませんが、その分、長期休暇をもらえるところもやはり魅力の一つでしょう。
個人的には、船の搬送や操船自体がとても楽しいとこの航海士は感じるそうです。さらに、海の上での星の観察は感動するほどきれいだと話します。「夜の海は真っ暗で何もないので星がよく見え、水平線のところまで星があります。星が多すぎてたくさん見えるので星座がわからなくなるほどです。満月のときは明るいのであまり見えませんが、新月のときは一番きれいに見えます」ということでした。
さらに「釣りもとても面白いです。沖ではマグロが釣れたりします。イカみたいな形をした仕掛けをなげっぱなしにしておき、実習生に見張っておいてもらうのですが、大きなマグロやカジキが釣れます。みんなで水揚げして食べるのもとても楽しい時間です。普通の人が体験できないことができるので、とても魅力的な仕事だと思います。」と話していました。

大変なこと

長期間家に帰ることができないことや船の中、つまり職場で寝泊まりをするのでプライベートな空間が少ないことです。
また、健康や睡眠時間などに関しては自己管理能力が必要です。
さらに残念なこととしては、冠婚葬祭に出席することができない場合があります。港に入っていればなんとかなりますが、航海中はどうしようもないからです。ある航海士はまだその経験はないそうですが、いつかそうなるかもしれないと覚悟をしていると話します。
航海士になった初めの頃、食事をしていた時にものすごく揺れたことがあり、お茶や食事が床にぶちまけられてしまい大変だったそうです。自分の部屋を見に戻ると、花瓶に飾っておいた花などが、全部廊下に飛び出てるなど、もっとひどいことになっていて驚いたといいます。船の中の家具は特殊です。例えば椅子の場合は下にネジがあり、床にネジをつけて固定できるようになっていたり、花瓶などは滑り止めシートの上に乗せてシールを貼って動かないようにしたり、本棚はバーで出てこないようにという工夫がされているのですが、それをし忘れてしまったので、全部出てきてしまったという失敗談です。
また、太平洋上では海事新聞がファクシミリで届くので、世界的なニュースなどの情報は入るのですが、テレビを見ることはできないので、流行りについていけません。9ヵ月も海の上にいると友人と話が通じないこともよくあるのだそうです。

取材協力

我妻 三耶子

東京都出身。小さい頃から海が好きで、スキューバダイビングや釣りなどをしてきた。 宇宙飛行士を一時期目指したが、宇宙を知る前に地球を知ろうと思い、地球=海という発想から、東京海洋大学へ入学。大学3年生の時、1ヶ月の船舶実習を履修し、初めて船の世界を知り、航海士を目指す。 海技教育機構(旧航海訓練所)に就職し、練習船士官として働いている。

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