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船は24時間動いているので航海士は交代で操船しなければならず、乗船中は休日がありません。そのため、航海士は9か月を船上で過ごして勤務し、残りの3か月が休暇というような、一般的な仕事の休暇体制とは異なります。まとめて取得する休日をどのように過ごしているのか、ある航海士に聞いてみましょう。
3か月休みがあるのが魅力
通常、航海士は1年のうち9か月をほぼ休みなく船で過ごしますが、残りの3ヶ月はまとめて休暇となります。
ある航海士はこの長期休暇が航海士の魅力の一つだと言います。いつも混んでるような週末や祝日に出かけなくて済むことや、月単位で思いっきり旅行にでかけられるのはとても楽しいそうで、休みがあったらまず旅に出るそうです。しかも、毎回違うところに行くのが楽しみだとのこと。
最近行ったところは、モンゴルで、その前はコモドドラゴンを見るためにインドネシアに行ったとこの航海士は話します。アウトドアや体を動かすことが好きなのでスマトラ島にも行き、1か月ほどジャングルをぐるぐる回って、野生のオランウータンを見にいったのだとか。
長い休暇を一緒にとれるのはやはり航海士の人しかいないため、一緒に旅行に行くのは航海士の友達が多いそうですが、一人で出かけることもあれば、家族で出かけることもあるそうです。母と一緒にベトナムにいったとも話していました。
ダイビングや素潜りも好きで、モリを突いて魚を獲りキャンプという生活も楽しいと言います。
また、ハワイやポリネシアでは星だけを頼りに航海すると聞いて以前から興味をもっていたそうです。実現した上司がいたので教えてもらい、知り合いにヨットを借りて実際にやってみたところ、本当にその通りにやれば目的地に到着することがわかって、自然のすごさと人間の知恵に感激したとともに、航海士としても大変おもしろく勉強になったのだそうです。
教官として実習生にも話をする小ネタになったと話をしていました。
サーフィンやスキンダイビングなど、マリンスポーツ全般が大好きで、特にカヤックは海の自転車のように動けるのですごくおもしろいと言います。カヤックには意外と荷物が積めるので、カヤック知床半島を一周してキャンプをして過ごしたことがあるそうです。外側から知床半島を見られたのは感動したし、とても楽しかったと話していました。
この海技士は二級海技士の資格をもっていて、一級海技士の資格を取る予定です。現在は陸上勤務のため、海上勤務に復帰して乗船履歴がもう少したまってからチャレンジすると言います。一級の筆記はすでに取っているので、口述試験のために勉強を始めているそうです。
そのほかは、家でゆっくり過ごして、日頃できない料理などを母に習って勉強したり、友人とご飯を食べに行ったりと、陸上生活を満喫すると話します。長期休暇の3か月は、長いようであっという間に経ってしまうということでした。
我妻 三耶子
東京都出身。小さい頃から海が好きで、スキューバダイビングや釣りなどをしてきた。 宇宙飛行士を一時期目指したが、宇宙を知る前に地球を知ろうと思い、地球=海という発想から、東京海洋大学へ入学。大学3年生の時、1ヶ月の船舶実習を履修し、初めて船の世界を知り、航海士を目指す。 海技教育機構(旧航海訓練所)に就職し、練習船士官として働いている。
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