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カメラマンが歩む代表的なキャリアステップにはどのようなものがあるでしょうか。カメラマンは企業に勤める会社員とは違い、昇格や昇給などでキャリアを測る職業ではなく、芸術性や広告、宣伝、報道などの意味が求められる職業です。あるカメラマンが考えるキャリアステップについて説明しましょう。
コンテストで賞をとって認められること
カメラマンの代表的なキャリアステップにはたくさんの種類がありますが、あるカメラマンは大きな一歩としてコンテストで賞をとることだと言います。
このカメラマンは、広告写真を撮る仕事が順調に動きだしたときにつまらなさを感じて、フィルムでの写真をつきつめたいと思ったそうです。現在はデジタルが主流ですが、フィルム写真を自分で撮って現像して、写真に起こすことにこだわりました。
なぜフィルムにこだわったのかと言うと、憧れの写真家、アンセル・アダムスの影響でした。アンセル・アダムスはアメリカ人の写真家で、暗室のなかで光の調光理論を作った人と言われ、写真技術に関する著作も高く評価されています。カリフォルニア州のヨセミテ渓谷を写したモノクロ写真が有名で、デジタルでは伝わらないフィルム写真ならではの迫力があるので、ぜひ本物を見てほしいそうです。
そんな憧れからフィルム写真にこだわって現像をおこない、あるコンテストに応募したところ、作品が入賞したのです。受賞を聞いてとてもうれしかったそうですが、驚いたのは入賞後の人々の対応でした。営業に行ったときの相手の反応は受賞歴があると変わるため、世間的に認められたという感じがしたそうです。すると、名前が売れて仕事の依頼が入るだけでなく、自分でやりたい仕事が選べるようになったということでした。
このように仕事にも直結していくので、賞をとることはとても重要なキャリアステップになるのです。
考えさせられるものを撮りたい
コンテストにはアマチュア専門のものもありますが、ほとんどの場合は年齢や性別、国籍などの応募資格がなく、あらゆる人が応募できるものが多いようです。また、テーマとなるものも、風景、人物、物、動物、街などさまざまです。
有名な賞としては、ピューリッツァー賞というアメリカの権威ある賞がありますが、新聞などの印刷報道が対象です。新聞に掲載される写真を撮影する人、つまりプロの報道カメラマンに限られます。日本では新聞社やカメラ会社が主催するコンテストが有名です。そのほか、世界中には多くのフォトコンテストやコンペがありますので、世の中に認めてもらうためにも積極的にチャレンジしてみるとよいでしょう。大きなキャリアステップになることは間違いありません。すると、写真の撮り方もどんどん変わってくる可能性もあります。
あるカメラマンは、美しいだけの写真を撮ってもつまらないと言います。被写体の美しさを切り取るのも写真の役割ですが、単にきれいというだけではなく、この写真にどんな意味があるのかを考えさせるような写真を撮りたいと話します。
例えば、白鳥を撮影するとした場合、モチーフは白鳥でありながら白鳥そのものではない写真、です。白鳥がもつ生命の力強さや優雅に泳ぐ気品を表現できる写真を撮りたいのだそうです。そのほうが写真を撮っていておもしろいし、見ている人にとっても興味をもってもらえるのではないかと話してくれました。
羽里彦太郎
独学にてフィルム撮影や現像などを学び、5年ほどフリーカメラマンを経て、2015年に株)Callaisを起業、現在は建築撮影、物撮り、ポートレイトなど幅広い範囲で、企業やベンチャー、外資や代理店などと仕事をしている。
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