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家具職人が仕事をするときの心がけ

家具職人が仕事をするときの心がけ

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大量生産の低価格な家具が出まわるなか、家具職人はどのようなことを意識して、日々の制作に取り組んでいるのでしょうか。また、独自のデザインを生み出すための感性磨きや、家具職人に付きものの「ケガ」に対する注意など、日ごろから心がけていることを紹介します。

大量生産の家具にはない「価値・満足感」を提供する

ここ最近は大手のインテリア店などで、低価格の機能的な家具が多く販売されています。そうした市場環境のなかで、家具職人が販路を開いていくためには、大量生産の家具とは違った提案・モノづくりを通して、いかに消費者のニーズに応えていくかが勝負となります。
自身の工房でオーダー家具を手がけるある家具職人は、「一番大切なのは、お客さまに心から満足してもらえるものを『ていねいにつくる』こと。そこに自分の感性(デザイン)を加えることで、モノに人の心が入り、唯一無二の価値と希少性が生まれる」と話します。人が使う家具は人間工学に基づいた機能性が求められますが、形・配置・色・素材などのバランスで構成されるデザインも重要なポイント。デザインによる視覚的な効果が、家具を見る人・使う人の心に作用し、日々の生活によろこびや楽しさ、癒しや感動をもたらしてくれるからです。
こうした「暮らしを豊かに彩る家具」は、作り手の研ぎ澄まされた感性と繊細なバランス感覚がなければ、けっして生み出すことはできません。この職人も「機能美と存在感」を生み出す独自のデザインを追求しながら、大量生産の家具では得られない満足感や価値を提供するモノづくりを、つねに意識して仕事をしているといいます。そのために、美術鑑賞や自然観察などでクリエイティブな感性を磨くとともに、日ごろからSNSなどでモノづくりの最新技術・技法をチェックし、積極的に学んで試しているそうです。
このように、自分の感性を磨きながら、モノづくりへの興味・向上心をもって勉強を続けていくことが、家具職人として活躍するためのライフワークといえそうです。

「ケガをしないこと」が最重要ポイント

家具職人に付きものといわれる「ケガ」。一番多いのが、電動ノコギリによる指のケガです。木材をカットしている最中に、高速回転している刃が指に当たって、場合によっては指切断という大ケガにつながることもあります。
大ケガをすれば仕事にも日常生活にも不便が生じますし、精神的なショックも大きいでしょう。治療でしばらく仕事ができず、職場の仲間や納期待ちのお客さまにも心配をかけることになります。
以前、作業中にケガを負ったある職人は「納期が迫り、気持ちがあせっているときが一番危ない。いつものルーティンワークで、無意識に作業しているときも要注意」と心がけるようにしたそうです。
作業中のケガや事故を防ぐためには、普段から道具の扱いに細心の注意を払うことはもちろん、急いでいるときこそ無理をせず、一つひとつていねいに手順を組んで作業を進めること。これは、家具づくりや木工に携わるすべての職人にとって、最も重要な心がけといえるでしょう。

取材協力

伊藤 洋平

1996年より英国にて家具のデザインと制作を学ぶ。帰国後、2004年に伊藤家具デザイン設立しオリジナル・注文家具のデザインと制作を始める。2010年より本格的な家具デザインと制作技術を学べる「八王子現代家具工芸学校」を開校。ものつくり大学・日本工学院八王子専門学校非常勤講師、八王子市観光PR特使。

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