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カメラマンには特に資格が必要な職業ではありませんが、専門学校などで知識や技術を学んでから、スタジオなどに就職しアシスタントから始めるのが一般的なパターンです。ここでは、フリーでカメラマンとして仕事を始めた際の最初の1年間の過ごし方について見てみましょう。
写真は適材適所で使われる
カメラマンとして活躍していくためには、どれだけ多くの人に自分の写真を見てもらえるかが大切になります。写真を見てもらうことが仕事の依頼に結びつくからです。
フリーランスで活動するあるカメラマンは独立した当初、出版社に電話をしてアポイントを取り、モデルを撮った写真を持ちこんで見てもらっていました。先方からは「あなたの写真は雑誌向きではなく広告向きの写真」と言われ、仕事はもらえなかったそうです。そのカメラマンは写真について独学で、外国の本で勉強していました。そのせいか、見せた写真は世の中の流行を反映したような世間に受けるものではなく、女性そのものの美しさを撮っていた写真、つまりは芸術性が高い写真だと判断されたのではないかと考えました。商業的写真と芸術的写真では撮り方だけではなく使われ方も違います。どこでどんな写真を必要とされるかを理解して写真を撮らないと仕事には結びつかない場合があるのです。
撮影をして作品を作り、見てもらう
1年目はなかなか仕事の依頼が入ってこなかったそうですが、プロのモデルを撮影しては出版社に足を運び、写真を見てもらうことを続けていたと言います。写真は撮るだけではなく、見てもらわないことには意味がありません。写真を気に入ってくれるクライアントがいないと仕事の依頼は来ないからです。
撮影するモデルはテストシュートで見つけます。テストシュートとは、宣伝用の写真がまだ少ない新人モデルがブック(ポートフォリオ)と呼ばれる写真集を作るために写真を撮ってもらうことで、モデル会社は所属するモデルの宣伝のために、テストシュートを募集しています。一人のモデルのテストシュートで撮影した写真を見た別のモデルが「私も撮ってほしい」と依頼してくることがあるので、テストシュートを一度おこなうと周りに影響があると、あるカメラマンは話してくれました。
また、作品撮りは、プロのモデル・ヘアメイク・カメラマンが作品をPRするために合同でおこなうものです。カメラマンは自分の感性だけで写真を撮るので、技術やセンス、経験などが要求されます。モデルにとっては宣材としてブック(ポートフォリオ)に追加する大切な写真であり、ヘアメイクをする側にとっても施術したヘアメイクをアピールするものとなります。カメラマンは作品をポスターにして展覧会や個展などに出品することもありますが、作品撮りを見て気に入られると仕事に繋がるので、プロとしてお互いに真剣に取り組むということでした。
写真以外のことが大変だった
あるカメラマンは、1年目はとにかく自分で決めながら動くことが大事だと言います。初仕事は建築物を撮ることでしたが、写真以外のことが大変だったそうです。
まずはWebサイト、つまりホームページを作りましたが、納得の行くいいものを作りたかったので、時間がかかってしまい、かなり苦労したと言います。次に、人脈を作る努力をしていきました。営業はこれまでやったことがなかったので、大変だったそうですが、そのうちに代理店が見つかり、契約してからは定期的に仕事が来るようになったと話してくれました。
羽里彦太郎
独学にてフィルム撮影や現像などを学び、5年ほどフリーカメラマンを経て、2015年に株)Callaisを起業、現在は建築撮影、物撮り、ポートレイトなど幅広い範囲で、企業やベンチャー、外資や代理店などと仕事をしている。
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