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シンガーソングライターという職業は「オン」と「オフ」の境目が明確ではありません。例えば、旅をしたり、本を読んだり、人と話をしたりすることが、新たな作品を生み出すヒントになることも少なくないからです。体力づくりを兼ねてスポーツをしたり、趣味で登山や写真を撮ったりすることもあるというシンガーソングライターに話を聞きました。
登山、写真、読書、映画、フットサル…すべてが音楽のヒントになる
休日に登山している写真
30代になってソロ活動を始めたのですが、一人で自宅とスタジオを往復する生活をしていると、どうしても煮詰まる時期があります。そのような時に、縁あってフットサルチームを作りました。そこで、ミュージシャン以外の同世代の友達とたくさん出会うことができました。じっくり話をすると、みんなそれぞれの場所で悩んで、戦って、輝いているのだと分かり、とても励まされましたし、ぐっと世界が広がりました。シンガーソングライターには体力も必要ですから、そういった意味でも、体を動かすことが良い刺激になっていると感じます。
世界を旅したり、登山をする機会が増えたのも、ソロ活動を始めてからです。行く先々で見た景色、経験したこと、考えたことから新しい曲が生まれることも少なくありません。写真を撮ることもライフワークです。旅先には必ずカメラを持っていきます。カメラマンの友人たちと勉強会を開催し、写真展を開いたり、写真集を出版したりしたこともあります。
ここ数年は、読書をしたり、エッセイなどの文章を書いたりする機会も増えました。本の中には、先人たちの知恵が詰まっていて、読んだことを誰かと話して共有することで、また新しい世界が広がっていきます。昨年から、新聞社のWebサイト上で、旅と本についてのコラムも連載しています。
映画を観ること、サッカー観戦も大好きですし、オフの時間に挑戦してみたいことはまだまだたくさんあります。そのすべてが、シンガーソングライターとして生み出す音楽にもつながっていくと思っています。
自然災害の被災地でボランティア活動に参加することも
2011年、東日本大震災の被災地でボランティア活動に参加した時、避難所で「1曲歌ってください」と言われ、弾き語りで歌ったことがあります。その後、音楽を必要としてくれる人がいるかもしれないという思いから、月1
回ペースで被災地に通い、ライブを行う「歌の炊き出し」をしばらく続けていました。『光をあつめて』というソロデビュー曲も、そんな経験から生まれました。現在も、仕事の合間を縫って各地で行われる災害復興支援ライブに参加したり、自然災害の被災地に入ってボランティア活動を行ったりすることもあります。
そしてこの春からは、東日本大震災後の未来を考えることをテーマにしたラジオ番組で、ナビゲーターをつとめています。スタジオでゲストの話を聞くだけでなく、実際に被災地に足を運び、皆さんのお話を聞いています。一口に「被災者」と言っても、一人ひとりにそれぞれのストーリーがあるのだと思います。そのストーリーとていねいに向き合い、しっかりと考え、発信することで、四方を海に囲まれ、地震や自然災害の多いこの国で、シンガーソングライターとして活動している私にできる役割をはたしていきたいと考えています。
藤巻亮太
山梨県笛吹市出身。レミオロメンの一員としてメジャーデビューし、「3月9日」「粉雪」など数々のヒット曲を世に送り出す。2012年、ソロ活動を開始。2018年より、自身主催の野外音楽フェス「Mt.FUJIMAKI」を地元山梨で開催するなど、精力的に活動の幅を広げている。 公式HP:http://www.fujimakiryota.com/
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