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出版社や新聞社の編集者、企業の広報・宣伝マーケティング担当者といったクライアント(依頼者)から要望を受けて原稿を執筆し、指定された期日までに納品するのがライターの主な仕事です。
内容は、依頼者が指定することがほとんどですが、全体の構成や具体的に何の情報を入れるのかをライター自身が考える場合もあります。
お店の取材や、人物インタビューをすることもあれば、資料やWebから情報を集めることもあるなど、執筆に取りかかるまでのフローは案件ごとにさまざまです。
自分が書きたいことだけを書くのではなく、クライアントや取材相手が伝えたいと思っていることを“言語化”し、“読者に届ける”のがライターに求められる役割です。そのため、物事を客観的に見つめる視点が重要になる仕事と言えます。
クライアント(依頼者)との打合せ
原稿執筆の依頼を受けたら、先方担当者(自社メディアをもつ出版社の編集者や、企業の広告・宣伝担当者など)と原稿内容についての打合せをします。
打合せ内容は、執筆する本や記事の企画趣旨、読者ターゲット、紹介したい情報、原稿納品までのスケジュールなどです。企画をブラッシュアップするためにアイデアを求められることもあります。
ここでお互いの頭の中を一致させることが、クライアントが考えているものとズレのない原稿を書き上げるために非常に大切になります。
取材
本や記事内でお店や観光スポットを紹介する場合は、ライターが実際にその場所に出かけ、見聞きしたことを情報源にすることが多いです。
旅行雑誌を手がけるトラベルライターであれば、全国各地はもちろん、海外に取材に出かけることもあります。そのほか、取材対象者に長時間同行して取材を行う密着レポートや、映画の試写会や音楽ライブなどのイベントに参加してレビューを書く仕事もあります。
最近では、リモートワークの普及を背景に、オンラインで取材を行う場合も増えています。
取材のアポイントメントは編集者が調整することが多いですが、取材先候補リストを受け取ったライター自身が打診をするケースもあります。
撮影
カメラマンを同行させる予算がない案件の場合は、ライターが取材の場での撮影を担うことがあります。
最近のカメラはオート設定で素人でもきれいな写真が撮れるため、高度なテクニックが必要なわけではありませんが、「こんなカットがほしい」という編集者の要望をしっかり把握しておくことは必須です。
また、どの角度から撮ったらベストかを瞬時に判断するセンスや、逆光やピント合わせなど写真の仕上がりを大きく左右する部分に関する知識は身につけておく必要があります。
インタビュー
企業の経営者、スポーツ選手、芸能人などにインタビューし、記事にまとめるのもライターの仕事です。
より深い話を引き出すためには、聞き手であるライターが相手のことをよく知っていなければならないため、インタビューには事前準備が欠かせません。
例えば企業の経営者のインタビューであれば、事業内容・会社の規模・売上高・世間の評判・直近のニュースなどをチェックし、企業の強み、抱えている課題、今後のビジョンなどを自分なりにまとめておきます。
具体的な質問をすれば、相手の答えも具体的になり、インタビューの内容がより濃いものになるからです。
文字起こし
長時間のインタビューや、メモを取ることが難しいシチュエーションの場合は、インタビュー内容をICレコーダーに記録しておきます。
この録音データを聞きながらWordなどに文字として打ち込んでいくのが「文字起こし」という作業です。
ICレコーダーに文字起こし機能が搭載されている場合もありますが、文字起こしをしながらあらためてインタビューを振り返ることで自分の頭の中で要点がまとまり、原稿の構成を考える際に役立つというメリットもあります。
原稿執筆
必要な情報が揃ったら、いよいよ執筆に入ります。ライターが1回の案件で書く文章のボリュームは数百字~数万字とさまざまです。
どのくらいのスピードで書き上げなくてはいけないかは、クライアントから指定された納品日(原稿の締め切り)によって変わりますが、複数の案件の締め切りが重なったときには締め切り直前に徹夜をする…などということもあります。
自身を追い詰めなくて済むように、また、原稿のクオリティーを保つためには、適正な執筆時間を確保できるスケジュールを組んで仕事をコントロールする“スケジュール管理力”が重要になります。
納品と修正作業
書き上がった原稿をクライアントに納品すればライターの仕事は終わりかといったら、そうではありません。
ほとんどの場合、クライアントから入る修正指示に合わせて原稿を再度整えていくことになります。修正指示は「この部分を削って、かわりにこの内容を追加してほしい」といった具体的なものから、「この表現が何かしっくりこないから、もっと柔らかい感じで」といったざっくりしたものまでいろいろです。後者のような場合は、相手が納得するまで何度も修正案をやりとりすることになるなど、一筋縄ではいかないケースも多々あります。
自分では完璧に仕上げたつもりでも、クライアントの意図やイメージに合わなければ、その原稿が世の中に出ることはありません。いずれにしても、相手が求めていることを正しく受け止め、最善を尽くすことがライターの使命であり、原稿を書いてお金をいただくというビジネスの形です。
時には、自身の想いと相手の主張に折り合いをつけていくことも必要になります。
高橋実帆子※2020年8月31日更新
フリーランスライター/エディター。1980年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、通信社記者を経て、2012年からフリーランスとして活動。女性向けWebメディアの編集長を経て、企業HPのコンテンツ制作、SNS運用支援などに携わる。経営者・役員インタビュー、社内報執筆、経済系書籍のライティング、日本文化に関する記事など執筆多数。
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