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航海士の歴史を知ろう

航海士の歴史を知ろう

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はるか昔からある航海士の仕事ですが、現在に至るまでどのような歴史をたどって来たのでしょうか。海運の長い歴史のなかにはさまざまな出来事がありますが、特にタイタニック号の事故は衝撃だっただけでなく、船に対するいろいろなことを変えたそうです。それはどんなことなのか、説明しましょう。

航海士は女房役から始まった

16世紀頃のある船について、船長や船員たちの俸給を階級序列によって記したリストには最初にMaster(船長)、その次にMaster’s mate(船長の伴侶・女房役)だけが記されています。
当時のあまり大きくない船では、船長の伴侶・女房役は何人も必要ではなかったようです
ところがその後、船が次第に大きくなって、船長の代理、または補佐を務める高級船員が何人も必要となってきました。すると、master’s mateの master’sが消えて、ただのmateと略称されるようになり、chief mate(一等運転士)、second mate(二等運転士)、third mate(三等運転士)といわれるようになったのです。
現在、航海士は、chief officer(一等航海士)、first officer(次席一等航海士)、second officer(二等航海士)、third officer(三等航海士)と呼ばれています。
船舶業界では基本的に英語が使われていますが、一等航海士chief officerだけはなぜか「チョッサー」と訛って呼ばれているそうです。

タイタニックの事故が多大な影響をもたらした

船の歴史は長く、航海士にまつわる話にもいろいろあります。過去の悲劇から人々が学んだことも少なくありません。船の設備的な歴史に重大な影響を及ぼしたのが、世界的に有名なタイタニック号の沈没事故(1912年)です。
当時としては最新かつ巨大な豪華客船と言われたタイタニック号が処女航海で氷山と衝突したのち沈没。1000名を超える多くの乗客、乗員の命を落としたことは映画にもなり、さまざまなメディアでも語られてきました。この頃は全員分が乗れる救助艇は準備されていませんでしたが 、タイタニックの事故を受けて法律なども大変厳しく見極められるようになり、救命艇やライフベストなどは人数分プラスアルファの数を乗せるように義務づけられました。
タイタニック号の悲惨な事故により、世界的な救助のあり方や船舶の安全確保が見直されました。装備の規則を定めた「海上における人命の安全のための国際条約(SOLAS)」が作られるきっかけになったのです(1914年)。SOLASはその後も改正を続け、現在に至っています。装備をするだけではなく、毎月ライフジャケットなど装備品の点検をしたり、実際に救助艇を船から降ろして走らせたり、エンジンチェックをこまめにおこなうなど、定期的な訓練をするように決められています。当時とは比にならないほどの厳しさがあり、訓練の記録簿も一年に一回、監視員がくまなくチェックをして、確認をしています。
タイタニック号の事故は映画に見るような悲劇だけではなく、その後の船の運航や安全に大きな改革をもたらす、非常にシビアな遺産となり、今も重要な役割を果たし続けています。

取材協力

我妻 三耶子

東京都出身。小さい頃から海が好きで、スキューバダイビングや釣りなどをしてきた。 宇宙飛行士を一時期目指したが、宇宙を知る前に地球を知ろうと思い、地球=海という発想から、東京海洋大学へ入学。大学3年生の時、1ヶ月の船舶実習を履修し、初めて船の世界を知り、航海士を目指す。 海技教育機構(旧航海訓練所)に就職し、練習船士官として働いている。

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