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不動産鑑定士の1年目はどうだった?

不動産鑑定士の1年目はどうだった?

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不動産鑑定士の試験に合格しても、所定の実務研修を終えて登録をしなければ不動産鑑定士として仕事をすることはできません。実務修習には最低でも1年かかり、2~3年かける人も大勢います。不動産鑑定事務所に就職した場合の1年目の業務について見てみましょう。

新卒で1年目に経験したこと

不動産鑑定士の試験に合格後、登録するまでは、まだ不動産鑑定士試験合格者でしかありません。資格登録するためには最低1年の実務修習が義務づけられており、クリアするためには22物件の課題提出が必要です。そのため、1年目は先輩の不動産鑑定士について物件調査のサポートを行い、実務修習を進めていきます。
 まずは物件を調査するために現地で必要な資料を集め、下調べをしておきます。対象物件の概要や図面を確認し、法的規制である都市計画法や建築基準法などに基づいているか、どのようなテナントが入っているか、どのような用途に使用されているかなどの物件運用状況、周辺での相場、現地の競合物件があるかどうかなどをあらかじめチェックするのです。
その後、指導鑑定士と一緒に現地に行って、対象となる不動産の物的な確認や権利関係の確認を行います。実際に現地に赴くと、事前に下調べした内容と違うことが多々あります。無断で小屋や物置などが増築されていて登記されていないという、いわゆる未登記の不動産がある場合は、対象物件の図面と登記内容を見比べて、実際にあるかどうかの物的な確認をすることが重要になります。登記がない場合はインターネットで確認をします。複雑な場合は法務局へ取りに出向くこともあります。また、入居しているテナントが届け出と違っていたり、修繕改修履歴が異なっていたりする場合もあるので、必ず確認をすることが必要です。さらに、不動産の所有権にそれ以外の権利、例えば地上権などが付着していないかなども調査をして、確認ができれば地上権を確定させます。
 物件の価格形成要因を調べる業務もあります。初めに、経済的な要因など一般的要因、次に駅からの距離や周辺環境などの地域要因、そして、その不動産ごとに違う個別的要因という3つの要因を鑑みて市場競争力を確認して判定します。さらに、最有効使用の判断も必要です。例えば土地なら、マンション・商業施設・ホテルのどれが最も有効に活用できるかなどを判断します。既存の建物は最有効使用であることが多いですが、空室が多いようであれば用途変更も考えて、不動産の価格を決定します。
いずれも指導鑑定士のアドバイスを受けながら、不動産の特性に合わせて評価手法の適用を行い、価格決定のプロセスを経て先輩不動産鑑定士と一緒に不動産鑑定評価報告書を作成します。1年目で10億円もするような大型不動産を任される場合は、責任の重さを感じずにはいられませんが、指導してくれる先輩の不動産鑑定士がいるので、安心して仕事に打ち込むことができたそうです。

取材協力先 田代 務

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