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不動産鑑定士になるための具体的な勉強時間や方法にはどのようなものがあるでしょうか。どの科目を重点的に進めたらよいか、試験の際のポイントなど、具体的な内容について、ある不動産鑑定士の経験に基づいて紹介します。
数学に強くなることと暗記が必要
不動産鑑定士の資格を取得するための短答式試験は鑑定評価に関する理論と行政法規の2科目です。行政法規だけでも40ぐらいの法律があり、対象範囲は広いですが、都市計画法、建築基準法、土地区画整理法、都市再開発法、などを中心に勉強するとよいでしょう。
論文式試験科目のうち、一番ウエートを占めるのは専門の鑑定評価に関する理論になります。残りは民法、会計学、経済学という一般科目で、それぞれ占めるウエートは同じくらいです。会計、簿記や経済、数学に強いと鑑定士の試験には有利ですが、特に数学系の科目に力を入れて勉強しておくことを勧めます。
肝心の鑑定評価理論は、論文を書くことになりますので、文章が書けることが必須条件です。ただ、試験時間は限られているので、じっと考えていると書く時間が足りなくなります。覚えていることを全部、頭の中で組み立てつつ書き進めていかなければ間に合いません。基本的な概念や定義については暗記力が必要で、基本の暗記した部分をもとに理論を組み立てながら答案用紙をどんどん埋めていく、というイメージです。
受験資格はなく、年齢、学歴に制限はありませんから、高校生でも受けられます。短答式試験はマークシート方式なので、トライしてみるのもいいかもしれません。
勉強のしかたは人それぞれ
ある不動産鑑定士は、半年は働きながら勉強し、その後1年は仕事をやめて資格専門学校に通ってフルタイムで勉強しました。不動産鑑定士試験の受験者数は年間1500人と少ないことから、参考書などもほかの資格と比べてそう多くはありません。そのため、専門の学校に通うことはとても有意義だったそうです。
試験は短答式試験が5月に行われ、合格率は平成29年で32.5%程度、8月には論文式試験があり、こちらの合格率は14.5%程度です。最終合格率は5%程度と合格率が低く、超難関の試験の一つだと言えるでしょう。
試験合格後、資格を登録するためには実務修習が必要で、修了するまでは早い人で1年ですが、2年ぐらいかかる人が多いようです。通常は働きながら実務修習を行って資格登録をしますが、実務修習を行うことができる大学があります。明海大学と日本大学です。ただ、学費はその分高いことや、大学で鑑定の実地研修をしてもなかなか実務に結び付きにくいことから、不動産会社や不動産鑑定士事務所で働きながら実務修習を行う人が多くなっています。
公認会計士や弁護士になるためのステップとして受ける人も多く、以前に不動産鑑定士の試験を受けて合格した公認会計士がライセンス取得までは進めなかったという場合に大学に行くことはあるようです。
取材協力先 田代 務