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財産の位置や面積などを確認し、所有者に代わって、法務局に(表示の)登記を申請することが許されている唯一の国家資格者である土地家屋調査士。「土地や家屋=不動産」の財産権を守るため土地家屋調査士は、法律に則ってさまざまな境界紛争を解決に導かなければなりません。ここではそんな土地家屋調査士に求められる適性を考えていきましょう。
さまざまな素養(適性)が求められる土地家屋調査士
「動産」と「不動産」をまとめた財産権の中の土地・建物(=不動産)を第三者から守るための登記業務を担っている土地家屋調査士が活躍する領域では、現在、高齢化が問題になっています。
しかし、この問題を逆の見方で見れば20歳代から40歳代の数が少ないため、若手が活躍できる範囲が広いことを示していることになります。実際に土地家屋調査士の業界内では、若手の資格取得者の活躍が待ち望まれています。
こうした業界事情からも、資格を取得したあかつきに土地家屋調査士ととして将来どのような働き方ができるのか?という点について情報収集しておくと、自分の未来像を描きやすくなるはずです。
また、土地家屋調査士の仕事内容について理解を深めておくことで、資格取得前や、個人営業事業主として独立する前に、どのような経験を積んでおけば将来的にどのように役立つかいった、といったキャリアプランも立てやすくなるはずです。
そのうえで、土地家屋調査士にはどのような素養(適性)が求められるのかを考えていきましょう。
・法律家として正しい判断をくだす「リーガル・マインド」
・案件ごとに異なる事情を汲み取る「ヒアリング力」
・全員の意見を集約し、的確な正解を導く「問題解決力」
・臨機応変に代替案などを提案する「対応力」
・専門家や土地所有者と円滑に意思疎通を図る「コミュニケーション力」
・さまざまな現場へ足を運ぶ「行動力」
ときにはスーツを着て、専門知識を武器に問題を解決する法律家としての顔をもつ一方、作業着を着て現地に足を運び、スコップで地面を掘るなど一作業者としての側面ももつ土地家屋調査士。ホワイトカラーとブルーカラーの中間的な仕事であるため、さまざまな適性、素養が求められます。
さまざまな選択肢の中から、必要なスキルを養っていこう
最近は、土地家屋調査士の資格試験受験者の年齢層は20代後半が多い傾向にありますが、これは新卒で社会に出た後に土地家屋調査士のことを知り、あらためて土地家屋調査士をめざす人が多いことを物語っています。
そのため焦る必要はありませんので、多様な選択肢やプロセスの中から、何が自分にとって最善の方法かをみつけていきながら、どんな力を身につけていけばよいかをじっくり考えるようにしましょう。
何より大切なことは、法律の知識です。弁護士、司法書士、税理士、行政書士、建築士、不動産鑑定士、測量士などの各分野のエキスパートとタッグを組み、ときには土地の境界紛争をとりまとめ、民法や不動産登記などの法律に精通した筆界のエキスパートである土地家屋調査士は、不動産の所有者に代わって位置や面積などを確認し、法務局に(表示の)登記の申請をおこなえる唯一の国家資格者であるため、その領域の専門知識や法律知識が必要最低限のスキルになります。
また、どこかの調査士事務所に補助者(アシスタント)として登録したうえで働きながらスキルを身につけ、土地家屋調査士の資格を取得した後、晴れて個人営業事業主になる人など、土地家屋調査士にいたるプロセスはさまざまな選択肢がある土地家屋調査士の仕事柄、将来的に独立を考えている人はCAD(設計・製図の支援システム)や関数電卓の操作だけでなく、自らの力でクライアント(依頼主)を開拓・獲得していく準備を、早い段階からしておきましょう。
力石洋平
主に都内の土地家屋調査士事務所にて勤務しながら資格学校に通い調査士試験に合格。 土地家屋調査士登録後、さまざまな土地、建物の測量、登記業務に関わる。資格指導校で講師として、また法務局の筆界調査委員としても活躍している。