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土地家屋調査士になるためには、大学や専門学校に進学後、資格の勉強を始める人や、まったく異なるジャンルで社会人経験を積んだ後、土地家屋調査士をめざす人もいます。ここでは、土地家屋調査士としてデビューするための一般的なプロセスを紹介しましょう。
土地家屋調査士の資格取得前に知っておきたい資格の概要
土地家屋調査士として現在活躍している人の中には、土地家屋調査士という国家資格があることを高校時代に知らず、大学へ進学した後、測量士や土地家屋調査士という仕事を知って、土地家屋調査士の資格を取得した人も多くいます。実際に、高校時代からピンポイントで土地家屋調査士をめざした人の割合は少なく、まったく異なる分野に進んだ後、あらためて資格指導校に入学し、測量士や土地家屋調査士の資格を取得する人が多いようです。
そのほか、土地家屋調査士の資格を取得する前に測量士補、測量士の資格を取得して、土地家屋調査士の資格取得をめざす人もいます。あるいは、土地家屋調査士の資格を取得した後に仕事の幅を広げるために測量士補や測量士の資格を取得する人もいます。
測量士補または建築士の資格があると試験が一部免除になるため、いずれかの資格を事前に取得しておくと本試験対策が楽になります。これから選択を考えている方は、測量士補資格取得がおすすめです。資格取得の勉強を効率的に進められるよう、測量士と土地家屋調査士の業務領域の違いを、まずは理解しておくことが大切です。
・【測量士補、測量士の資格】 = 大規模の橋や高速道路などの測量から、小さな土地の測量まで、技術的業務の色合いが濃い国土交通省管轄の国家資格。
・【土地家屋調査士の資格】 =筆界(その土地の範囲を区画するものとして定められた公的な線)のエキスパートとして社会の財産権保護の一翼を担う、技術的業務と事務的業務の中間的な法務省管轄の国家資格。
例えば、測量の専門学校に進学した人の場合、卒業と同時に測量士補という資格が付与され、さらに実務経験を2年積むと、測量士の資格を取得できます。測量士の資格は土地家屋調査士の仕事に必須ではないものの、土地家屋調査士の資格と測量士の資格を取得しておけば、業務範囲が広がるメリットが得られます。
こうした点から、測量技術を習得することを目的に測量の専門学校に進む人、あるいは大学の土木学科、建築学科、農業学科、地理学科、数学学科などに進学した後、所定の科目を履修すると卒業時に付与される測量士補の資格を生かし、実務経験を積んだ後に測量士になる人も多くいます。
いろいろな分野に興味をもち、コミュニケーション力や語学力を高めておこう
土地家屋調査士として活躍するためには、試験で勉強する知識のみがあればよいというわけではありません。さまざまな人と信頼関係を築けなければ交渉事もスムーズにまとまらないため、普段からいろいろな分野に興味をもち、会話力やコミュニケーション力はもちろん、ある問題が起きたときに、その問題を誰が、どのように解決していったかに注目することで「問題解決力」を身につけておきたいもの。
さらに、土地家屋調査士は法律と照らし合わせながら、土地と家屋の財産権を守るエキスパートである点から、記載ミスといったケアレスミスは許されません。持ち物を失くしやすい人、漢字が苦手な人、さらにはニュースをテレビでなんとなく聞き流すことが多い人は、社会の財産権を保護する仕事に携わるうえでのミスを防ぐための訓練として、専門用語の漢字や表記を目で確認できる新聞やネットニュースなどを通して、時事問題や最新ニュースに接する訓練を積み重ねておきましょう。
力石洋平
主に都内の土地家屋調査士事務所にて勤務しながら資格学校に通い調査士試験に合格。 土地家屋調査士登録後、さまざまな土地、建物の測量、登記業務に関わる。資格指導校で講師として、また法務局の筆界調査委員としても活躍している。