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アクチュアリーの主な業務は大きく分けて、保険商品の開発と年金制度の設計の2つがあります。
保険商品の開発では、将来的に会社が支払うであろう保険金を算出したうえで適正な保険料を設定し、保険会社と契約者双方にメリットのある保険商品を作ります。年金制度の設計では、経済の動向や社員数の増減などを数学的に分析し、企業と従業員の双方が満足できるような設計を行います。
このほか、「保険計理人」に指名されたアクチュアリーは、保険会社がサービスを継続できるように健全な経営を行っているかどうかの診断を行います。また、数学的な分析手法を用いて顧客から預かった資産を運用する、融系企業などに対してコンサルティングを行う、保険会社の財務状況に関する外部監査を行うなどの仕事もできます。
保険商品の開発
一般の人たちは、将来の不安や万が一の事故や病気などに備えて保険に入り、毎月、決められた額のお金(掛け金)を支払っています。この保険の掛け金や、万が一の事態が発生した時に支払われる金額の決定を行うのがアクチュアリーです。
金額設定に不備があると、保険会社は大きなリスクを背負うことになります。こうしたリスクを回避するために、将来的に会社が支払うと予測される保険金をさまざまな数学的手法を利用して予測したうえで適正な保険料を設定し、保険会社と契約者双方にメリットのある保険を開発しています。例えば最近は、喫煙者と非喫煙者で掛け金が異なる生命保険などが出ていますが、こうしたことを可能にしたのも、アクチュアリーの高度な数理手法による裏付けがあるからと言えます。
年金制度の設計
年金分野では、確率・統計的な手法に基づいて経済の動向や社員数の増減などを分析し、企業と従業員の双方が満足できるような年金制度を設計することがアクチュアリーに期待される役割となります。アクチュアリーの仕事は、少子高齢化社会において、人々が安心して働くためにきわめて重要な役割を果たしていると言うことができるでしょう。
保険計理人業務
アクチュアリーは、「保険計理人」としての業務を担当することもあります。保険会社は、法律により「保険計理人を選任し、保険料の算出方法や責任準備金の算出方法などの保険数理に関することに関与させる」ことが義務づけられています。選任された保険計理人は、①将来の保険金支払いのために十分な責任準備金(将来の保険金などを支払うための資金)が積み立てられている、②契約者配当や社員への剰余金の分配が公正に行われている、③保険会社の業務継続可能性の3点を確認し、その結果を取締役会に提出します。保険計理人になるには、日本アクチュアリー会の正会員となり、かつ保険数理に関する業務に5年以上従事する必要があります。
その他の仕事
運用利回り(投資した資産に対し、どのくらい利益が上がったかを示す数値)や利益からの分配金の支給期間などを加味したデータを算出し、顧客から預かった年金などの資産運用に活用するアクチュアリーもいます。
このほか、コンサルティング会社に勤務して金融系企業などにコンサルティングを行うアクチュアリーや、監査法人(企業の財務をチェックする法人)という中立的な立場から保険会社の財務状況に関する外部監査を行うアクチュアリーも増加傾向にあります。