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税理士の歴史
今や全国に約7万7000人いる税理士ですが、実はその歴史は100年もありません。今回は、税理士の仕事がなぜ生まれ、現在までにどういった変化があったのかを見ていきましょう。
税理士制度の始まりは、戦後の混乱のなかだった
税理士制度が始まるきっかけは、1947年に始まった申告納税制度の導入にあるとされています。それまで税金は、国が国民に対して課するものでしたが、国民が自主的に計算し納める方式に変わったのです。
この背景には、税金を扱う公務員が不足しており、従来の方法では対応しきれなくなっていたことや、戦後になり時代が民主化へ流れていたことも背景として考えられています。
しかし、申告納税制度の導入はスムーズには進みません。例えば所得税の統計を見ると、1948年には納税者の約70%が申告をしておらず、申告をしていたとしても、多くの人が間違えているため、申告のやり直しをさせられるという事態になりました。
そこで必要となったのが、税金に関して専門的な知識をもち、手続きを代行してくれる人。つまり税理士だったのです。
税理士法の制定
そのような時代背景のなか、日本の税の制度を大きく変える転機がありました。
1950年のアメリカのシャウプ税制使節団による勧告(通称「シャウプ勧告」)です。
シャウプ勧告では、公正で中立的な税制を確立すべきとされ、日本の税金の制度が大きく変わることになりました。この税制改革の一環として、税理士法が制定されたのです。
税理士法第1条には、税理士の使命が規定されています。
「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念に沿って、納税義務者の信頼に答え、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命としています」
この条文は現在でも変わらず、すべての税理士が認識しておくべきものとなっています。
改正により税理士業務の幅が広がってきた
税理士法改定後、4回にわたって法律の改正が行われました。1956年の改正では、税理士業務を行う人は、税理士登録を行い、かつ、税理士会に入会しなければ業務を行えないこととなりました。
税理士会とは、全国の税理士を監督する機関として、税理士自身によって構成されている組織です。税理士会は、全国の国税局の地域ごとに設立されており、現在はすべての税理士が、管轄する税理士会に登録をしています。
2001年の改正では、税務に関する訴訟のときに、弁護士とともに裁判所に出頭したり、主張をしたりといったことができるようになりました。さらに2014年には、公認会計士が税理士業務を行う際には、税法に関する指定の研修を受けることが要件とされました。
このように、税理士法は社会の変化に合わせて少しずつ変化していますが、根幹となる税理士の使命は変わりません。「納税義務の適正な実現」のために、今後も果たすべき大きな役割があるのです。
髙橋昌也※2020年9月8日更新
税理士。東京地方税理士会川崎北支部所属。2007年に税理士登録。「小さなおしごとの支援」を掲げ、小規模事業者に特化して業務を展開。各種事業計画の策定や金融機関との交渉など、経営に関する幅広い分野について支援を実施。2013年には経営革新等支援機関の認定取得。税理士業務で学んだ知識や経験を生かし、文化・芸術活動の支援にも携わる。
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