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裁判官には「事実を調べる能力」、「調査した事実に法律的な分析を加える能力」、「総合的に事実を認定する能力」が必要とされると言われます。これらの能力は訓練を通じて培われ、磨かれていきますから、学生時代から思い悩む必要はありません。適性として不可欠なのは正義感です。律儀で責任感に優れ公正であることが求められます。法律への興味があり、社会で起きる問題について深く分析したり、論理的に説明したりできる能力をもち、自分が身につけた法律の知識で世の中の役に立ちたいと思う人に向いているでしょう。
清廉潔白、公正中立、寛容さ
裁判官には法律知識や見識、事件処理能力などはもちろん、勤勉さや誠実さ、高い倫理観などが求められます。裁判が国民に信頼されるためには、判断内容が正しいことは当然ですが、判断する裁判官の廉潔性(私欲がなく、心や行いが正しいこと)、公正中立性、寛容さなどが認められなければなりません。
謙虚に姿勢と学び続ける向上心
裁判官はさまざまな事件を担当します。特に地方の裁判所ではそれが顕著です。事件には自分の人生において経験したことがないような事柄や専門性が含まれていることも多くあります。そこで裁判官は事件の論点となっていることについて、文献や判例(過去の裁判で実際に示された法律的判断のこと)などを徹底的に読み込み、自分の知識とするように努めます。ですから、裁判官にはまず謙虚な姿勢で自分の能力を見極めること、そして足りない能力を補うために絶え間なく調査、研究をしていく姿勢、学び続ける向上心が必要です。
先入観をもたずに話を聞く
裁判官は紛争を解決する前提として、事実を確定する必要があります。そのためには証人等の証言を、まっさらな心の状態でじっくりと聞かなければなりません。証言を聞く前に裁判官が先入観などをもってしまっていたら、事実認定は偏った不当なものになる可能性があります。先入観をもたずに、人の言ったことを聞き逃さず、冷静に分析する力も裁判官の重要な素養の一つです。
人間味や思いやり
司法制度改革の方向を決めた司法制度改革審議会の審議のなかで、国民が求める理想の裁判官像として、「人間味あふれる、思いやりのある、心の温かい裁判官」、「法廷で上から人を見下ろすのではなく、訴訟の当事者の話に熱心に耳を傾け、その心情を一生懸命理解しようと努力するような裁判官がいい」といった意見が出されました。こうした性格も適性として挙げられるでしょう。
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