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弁護士の20年後、30年後はどうなる?

弁護士の20年後、30年後はどうなる?

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弁護士業界は、裁判所とのやり取りが未だにFAXなど、IT化が「遅れている」とされている業界です。しかしAIの導入も含めて、IT化をもっと進めていけば、弁護士仕事のうち、些末な事務的業務は大幅に減り、法的問題の検討といった根幹となる仕事はもっと充実することが見込まれています。特に、弁護士の仕事では、論文や過去の裁判例などのリサーチといった調べものに時間を費やすことも多いのですが、このような調べものの時間については、将来的に、AIによって大幅に削減できるのでは、とある弁護士さんは語ります。

AI導入で短縮できる仕事は調べもの

弁護士の仕事は多岐にわたりますが、一例を挙げると、個人や企業の法律の相談にのったり、交渉や裁判をしたり、犯罪で捕まったりした人がいた場合はその弁護をしたりします。
また、国や地方自治体と協力して法令やガイドラインなどのルール作りを行ったり、企業内のルール作りを行ったりもします。
その際、相手との間で見解がわかれるような難しい法律問題や、新しいルール作りをしたりする場合などは、とても大まかに捉えると以下のような流れで仕事をする場合が多いです。
(1)自分の取り扱う案件に関係する法律書、論文、裁判例などを調べて、より深い法律の背景や、学説と呼ばれる法律に関するさまざまな見解を調べます
(2)取り扱う案件に(1)の結果を利用することができないか、利用できるとすればどのように利用することができるか論を組み立てる
(3)(2)の内容を、裁判外における相手との交渉や説得で利用したり、裁判になった際には裁判での主張に利用します。また新しい法令などのルール作りに、これまでの法令の議論状況も含めた(2)の内容を応用したりする

AIが発達すれば、判例検索、論文検索が短時間でこなせ、(1)の時間が大幅に減ることが見込まれています。また、法律業界はまだまだ紙文化であり、裁判所とのやり取りはFAXが使用され、法廷でのパソコン、携帯の持ち込みは控えるように促される場合もあります。
裁判におけるIT利用の促進は、セキュリティの観点等から検討点は多いのだとは思いますが、もしこれが進めば、裁判所とのメールでのやり取りはもちろん、尋問などの裁判記録のテープ起こしをAIが行うこともいずれは可能になるでしょう。
調べものや書類作成の時間が短縮されると、これまでの事例を踏まえた法律の応用や、裁判や法律制定時の実践的な人との交渉部分により力を注ぐことができます。

社会が複雑化して、法整備がなかなか追いつかない現代

テクノロジーが日々進化する現代社会は、権利関係を含めた法的問題が、ますます複雑化しているため、法整備が追いついていません。100年前にSNSがなかったように、日常に法律の追いつかない問題がたくさんはびこっています。また、権利に関する人々の意識も変わってきましたし、国や企業などの団体にもコンプライアンスの観点がより強く求められるようになりました。以下は日常で問題になりつつあるものです。
・Instagramで写真を撮ったら企業の看板や他人が背後に写り込んでいた。商標権や肖像権の侵害になるのか。
・インターネット上で、他人に知られたくない自分の過去や、自分の情報が載せられているが、これは一生削除できないのか、削除する権利はあるのか。
・重要なスポーツの試合で誤審があったが、これは裁判で争うことができるのか。一部のスポーツではビデオ判定が導入されて誤審がより明確になるような時代になりましたし、実際、バスケットボールの試合で誤審があり、裁判になった事例もあります。
・お金儲けではなく公共的な使い方であれば、著作物(音楽や、絵画、本など)はもっと自由に利用できないか。YouTubeなどのサービスは、著作権法との関係で問題がないのか。ネットに多く流れている著作物のコピーなどは、どのように法的整備を行うべきか。
・自動運転の車が事故を起こしたら、責任はメーカーが負うのか運転手が負うのか。
集団訴訟が可能で法整備も早いアメリカに比べ、日本の弁護士はまだまだ時間や労力が足りていないのが現状です。IT化を促進して、より時間が短縮できれば、より多くの弁護士が法整備などの本質的な仕事に注力できるようになります。
SNS、YouTube、自動運転の問題等、各種問題に関係する一つひとつの法律の整備に携わるのも、弁護士の仕事です。もちろん皆さんの生活にかかわることなので慎重な検討が必要ではありますが、一つでも多くの問題がより活発に国の機関で審議されるようになれば、未整備な問題にルールができ、私たちも暮らしやすくなるのです。

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